鎌谷ミキ

サッドティーの鎌谷ミキのレビュー・感想・評価

サッドティー(2013年製作の映画)
4.8
この作品を観た後、何年ぶりに'思い出の桜’の近くを通った。あの季節とはちがって、青い葉が生い茂っていた。 桜の季節に眺めていた頃、登場人物と同じようなことを考えていた。カレが世界の中心で、カレのことしか考えられない…この作品には、その頃の私が確かにいた。誰かひとりの人物とかではなく。

'「ちゃんと好き」って、どういうこと?’とは、絶妙なキャッチフレーズ。12人の登場人物の誰もが恋に悩み、恋に生きている。中には既婚者もいた。浮わついた心という表現だったけれど。そこにもざわざわさせられ…けれど、桜の季節には戻りたくないと強く思う。登場人物同様、前に進みたいから。

監督のライナーノーツを読んで(結婚して子どもがいて一歩引いた立場から)このようにリアルな恋愛模様が描けるという今泉監督の脚本・演出力のスゴさを改めて感じた。恋愛モノの傑作。
鎌谷ミキ

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