半兵衛

バーフライの半兵衛のレビュー・感想・評価

バーフライ(1987年製作の映画)
3.8
ろくに働きもせずに日がな酒ばかり飲んで生活し、金を手に入れたらすぐバーに行って酒を飲むという主人公をはじめとてつもなく堕落した生活を送っている人たちばかり登場するのに彼らを見る視線は温かくて、いつしか彼らが愛らしく思えてくるマジックが堪能できる一作。酒浸りの作家役のミッキー・ロークは二年前に『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』で男前な刑事を演じていたとは思えないくらいだらしない顔&体型になっていて驚かされるが、酒に溺れながらもふと覗かせる優しさや美形の顔立ち、随所で披露する知識が堕落した男の魅力を放っており劇中女性たちが彼に惚れてしまうのも納得させるのがさすが。

冒頭のバーの外から中へと自然に入っていくカメラワークや自然光を巧妙に使った映像など名カメラマンロビン・ミューラーの技が全編で冴え渡っていて作品の完成度を高めている。

あまりにもランクの低い生活を送っている登場人物のドラマは見る人を選びそうだけれど、こういうどうしようもない奴らを見ているのが好き&酒飲みの私にとっては面白かったし、それに中年のアル中女性フェイ・ダナウェイとの愛を優先し、上流階級に一泡ふかせるラストが痛快。

主人公が入り浸るバーの客がやけにリアルだなと思ったら撮影で使ったバーに通う常連客を起用しているのか、確かにああいう客は日本の飲み屋とかにもいそうで店が身近に思えてくる。
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