グラッデン

さよなら、アドルフのグラッデンのレビュー・感想・評価

さよなら、アドルフ(2012年製作の映画)
3.4
物語は第二次世界大戦末期のナチスドイツが舞台。ヒトラーが自殺したことが国民にも広く知れ渡り、戦争の敗戦色が色濃くなる中で両親と離れた子供たちが逃避行する物語。

昨年は終戦から区切りの年ということもあってか、規模を問わずに戦争をテーマに扱った作品が多く日本でも上映されました。私も何本か見ておりましたが、本作を見た後に戦場と日常生活は様々な意味で線引きされない存在であることを実感しました。

主な登場人物は、10代の長女をはじめとする5人の姉妹兄弟。作中で何度か触れられるように、ナチスドイツ下では「ヒトラーユーゲント」と言われた子供たちも含まれています。

時代の流れに翻弄される子供たちの逃避行をベースにして、思春期の少女・ローレの繊細な感情の揺らぎを描いております。少し抽象的すぎたかもしれませんが、場面ごとの変化は細かく描いていたと思います。

また、ローレを演じられたサスキア・ローゼンタールさんの美しさには、目を奪われました。眉間に皺を寄せる厳しい状況が多かったので笑顔を見せる場面はわずかでしたが、凜とした表情もまた素敵でした。