qpism

トム・アット・ザ・ファームのqpismのレビュー・感想・評価

3.7
ラスト、フランシスのニットの背中に「USA」と縫ってあり、彼の自由への羨望が伺えて切ないんだけれども、エンディングで歌われる「アメリカにはうんざり」というフレーズが皮肉でまた…。ケベック州は独立運動が盛んで度々話題にのぼる地域らしいけども、そんな微妙さもアクセントになっていた気がします。またドランはゲイでありカナダは同性婚も可能でLGBTには優しい国のはず、それでも田舎ではそれを隠さなければならない事情なんかも垣間見れて、やはり一筋縄ではいかないんだなあ、と。

内容的には終始不穏で真実がぼかされている部分もあり、とにかく不気味でした。閉塞感と緊張感でどっと疲れてしまい、ラストのネオンにホッとさせられ。フランシスはいつ自由になれるんだろう。フランシスが埋めていたトムの喪失感はどうなるんだろう。離れていたベッドが最後には隣り合わせになっていたのが居心地悪くてたまらない。
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