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横山健 -疾風勁草編-のTorichockのネタバレレビュー・内容・結末

横山健 -疾風勁草編-(2013年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

昔は、がっつりハマっていたのに、いつの頃からか疎遠になった健さん。
いや、はっきり言おう。
震災後からのハイスタどうする?みたいなのが面倒くさいなぁと思い始めて、カナダに入ってからはほぼ完全に近い感覚で距離を取りました。...
この作品は、横山健が自分の半生を振り返りつつ、社長としての面、モンスターバンドのギタリストとして の面、二児の父として面、そして自身が今活動してる、KEN BANDのフロントマンとして思うことを、包み隠さず(もちろん、難波側の視点もあるから、それが100%正しいのか知らねえけど)、語っていました。
ハイスタに対する思いは、きっと当人にしか分からないんだろうな、どんなファンでも分かり得ることはないんだろうと思いました。
僕は相変わらず、難波が嫌いなので、アレですけど...

震災の後、たくさんのアクションを起こすミュージシャンがいました。
AIR JAM2011、もちろん行きたかった。ただ、ハイスタの健さんが楽しみだったわけではないんです。
そして、その日のことを健さんが語ったことを聞いて、なんか落とし所を見つけたような気がしました。
あの時あの瞬間、誰もがハイスタを望んでいたけど、健さんは乗り気じゃなかったと語っていました。
紆余曲折、それぞれ理由あるんだけど、難波が言い出したことに震災が重なった結果、開催が決定したこのAIR JAM2011には乗り気じゃなかった。
映画の始まりは、そのAIR JAM2011公演直後、後悔と不満を吐露するところから始まります。

僕は感じたんです。この人は、自分の信念を、多分人が思ってる以上に本当に強い信念を持っている。それを起こす力も人望もカリスマ性もある。逆に悪く言えば、自分発信で起こるアクション以外は乗れない、究極のワガママなんだって。
それ故に、反感も買うし、僕みたいにめんどくせェなと離れてしまう人もいるのかもしれませんが。

2011〜2012の間のとあるライブで、

"ハイスタをやれば、みんなも喜ぶし、関係者も喜ぶし、東北の人も喜ぶし、KEN BANDのみんなもやってきなよー!って言ってくれると思う。だけど、唯一、おれは喜べないんだ。だから、やれない"

こんな、真っ直ぐことを言える男って、やっぱりカッコいいなって尊敬してしまいました。物をあまりはっきり言えないタイプだし...
その後、彼が指揮を取った形のAIR JAM2012が開催された。
ハイスタもやった。
その時のことを、こう振り返ってる。
"難波が言い出したことに対する対抗も、あったかもしれない"
僕が感じたこと、いや、みんなが横山健さんに抱いてた思いを、なんとなくだけど自分でも分かってたことと、それをこういう形で言えてしまうことはすごいことだなと。
そしてやっぱり、自分が決め、自分で自分を動かすことに生きがいを感じてる
人なんだなぁって思いました。

今回、この映画を見て、僕はより横山健という男を好きなのかそうじゃないのか、分からなくなりました。
しかし、求められてることを自分が求めてないから出来ない、自分が求めてないことをする自分を信じることはできない、だってロックって想いがなくちゃ出来ねぇもん!もし、ロックと出会ってなくて、どんなことをしてても、自分のことは信じてやり抜くしかないから、って思っていたと気がする。
的な(正確には覚えてないけど...)
そういう強い考えの持ち方は、とても勉強になりました。

僕がこの先歳を重ねていく上で、どんな道をどんな風に生きていくのか分かりません。みんなそうだと思いますが...
ただ、どんな場合においても、自分を信じるために自分を信じれるような毎日を過ごしていかなくてはと、反省しながら映画館を後にしました。

隣の兄チャンは8割以上寝てたけど、
観てよかったと思える一本でした。
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