爆裂BOX

悪霊のはらわたの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

悪霊のはらわた(2012年製作の映画)
3.7
山小屋を訪れたアルヴィンとイダら7人の男女。しかし地下には邪悪な存在が潜んでおり憑依された者は怪物と化す。怪物と生存者との血みどろの戦いが始まる…というストーリー。
スウェーデン版「死霊のはらわた」と評判の作品で気になっていました。監督は「サイレント・マウンテン」やリブート版「パペット・マスター」のソニー・ラグーナ。
父親の紹介で森の奥にある山小屋を訪れたアルヴィンたちですが、地下室に入った一人が邪悪な魔物と遭遇し、憑りつかれて怪物と化し仲間に襲い掛かっていくという内容です。
まず、山小屋を訪れた若者達が邪悪な存在によって怪物と化し仲間同士で殺し合うとプロットもそうですし、怪物と化した仲間に顔を引っ掻かれる所や、シェイキーカムではないですが不安定なカメラワーク等に類似性が見られます。主人公の青年がアッシュの様に青シャツを着ている所等も。
ただ、「死霊のはらわた」と違うのはやりすぎてユーモアが漂っていた本家のゴア描写と違い、こちらは徹底的にシリアスでドライなゴア描写という所ですね。切断個所から牛乳みたいな液体が噴き出す事もなく、何だかわからない赤黒いグチャグチャな物になるまで徹底的に人体を破壊する様は何だか乾いた恐怖と異様な迫力を感じさせます。上唇喰いちぎられたり小さいナイフで喉切り裂いて首切断したり、頭ミンチになるまで叩き潰したり痛々しさもあるゴア描写はリメイク版に近い所あるかもしれないです円。
本作の死霊にあたる存在はちょっとした説明しかありませんが、どうやらフィンランドに伝わる妖精のようですね。本作ではミイラのような姿をしていますが、目を合わせただけで感染してしまいます。更に怪物になった者に噛まれたり引っ掻かれるだけでなく血を浴びただけでも感染してしまうという悪質さです。
また、主人公達や途中で説明してくれるおっさんも地元の人間ではないので対処法が分らずとにかく動かなくなるまで攻撃するしかないというのも絶望的です。そのオッサンもショットガン片手に現れて救世主になるかと思ったら噛まれてアッサリ退場しますし。
主人公が恋人にとどめをさすシーンは悲哀に満ちていて良かったです。
終盤、地下室からラスボスが登場して目を瞑って眼を見ないようにする主人公に顔近づけてくる所等いい感じだったけど、あまりにアッサリ倒され過ぎてビックリしました。あのオッサン「とてつもない力を持つらしい」とか言ってたのに…
シンプルなストーリー故ストーリー的な面白さは無いですが、ホラーファンなら一見の価値はある作品ですね。リメイク「死霊のはらわた」に不満のある人は楽しめるかもしれません。