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罪の手ざわりのkabcatのレビュー・感想・評価

罪の手ざわり(2013年製作の映画)
4.1
これも7-8年ぶりに再鑑賞。ずーっと連続してジャ・ジャンクー作品を見てきたが、このあたりの作品になってくると、貫禄が感じられ、映像も物語もドラマティックになっている。またずっとオフィス北野がバックにいることもあってか、北野武作品からの影響もいちだんと大きく感じられる。

社会のなかで最も弱い立場にいる人々が暴力や犯罪に走るかを描いた作品だが、それと並行して力ある者たちだけが繁栄する社会の閉塞感が示されている。今回は不思議アニメや引用文といった実験的な要素はないが、家畜や小動物などが多数登場し、映画をものがたる暗喩的な存在になっている。また監督が述べているように武侠映画へのオマージュが散りばめられ、ダーハイやシャオユーはまるで見栄を切るかのように銃やナイフを振りかざす。この監督の作品のなかでは非常に洗練されており、一つの到達点といってもいいかもしれない。でも何度か書いているように、初期の停滞した時間がダラダラ続く作品も好きなんです・・

チャオ・タオはこれまでで最もドラマティックな役柄だが、監督の期待に応えて血だらけでナイフをかまえる姿も素敵だ。しかし今回は第1話の物語も含めてダーハイ役のチアン・ウーの存在感が圧倒的であった。お兄さんのチアン・ウェンもカッコよくて好きだが弟も色気ムンムンですばらしい笑。彼と対照的な繊細でか弱い感じのルオ・ランシャンをシャオホイ役に起用するなど、キャスティングも絶妙だった。ハン・サンミンもいつものサンミン役で登場してるし、ワン・ホンウェイは今回悪徳サウナ客という意外性で楽しませてくれました笑。監督もうさんくさい役で登場してます笑。
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