さわら

白ゆき姫殺人事件のさわらのレビュー・感想・評価

白ゆき姫殺人事件(2014年製作の映画)
3.0
芹沢ブラザーズっていう、あまりにも胡散臭いバンド名がツボだった。そこが1番の見所というのも、あながち間違っていない。
Twitterはもちろん、FacebookもLineもmixiもやってない小生(生きた化石と呼ばれることもしばしば)、スクリーンにTwitterが映るという演出に斬新さを感じつつも、「そもそもTwitterってなんや?」っていう根本的な問題が常につきまとった。ネット情報が信用ならんというのはよくあることで、今作が現代に蔓延る問題を象徴しているっていう評をよく見るが、だとしたらこんな薄っぺらい映画でそれを表現できたかというと、それは相当怪しい。
城野がネット上で罵詈雑言を浴びつつも、ある人物に信じ続けてもらえるところを救いと見るか、またラスト、赤星があんなに探し求めた城野に会いつつも全く気付かないところを皮肉とみるかは観たひと次第。僕は悲劇的に見えました。
それにしても1つの事件を多重的に見せ、隠れた事実を白日の下に晒す展開はまさしく湊かなえ節と言うべきか。映画だと中島哲也監督『告白』が記憶に新しい。それと今作を比べると、原作の差はともかく、やはり中島監督のセンスの良さが際立ち、中村義洋監督にとってなかなか手厳しい結果だと思った。傑作『告白』がある以上、湊作品は常に比較されてしまうと思うとなんか可哀想に感じる。合掌。
これは余談、映画鑑賞後ケンカをしているカップルに出会った。どうやら映画鑑賞中の彼の態度が気に入らなかったらしい。そんな彼らの痴話喧嘩に僕は聞き耳を立てていた。“他人の不幸は蜜の味”なんて思っていたとき、僕は映画内でバカ騒ぎするTwitter民の姿が頭をよぎった。背筋が寒くなったのは言うまでもない。