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7番房の奇跡のmofaのネタバレレビュー・内容・結末

7番房の奇跡(2013年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

泣ける泣けると、噂のこの作品を観ました。
確かに、泣ける要素が散りばめられています。
話だけ聞くと、もう暗くて重いのかと思ったら、
面白さもあって、こういう所、韓国ドラマうまいな・・・・と
思いました。
重くて泣けるけど、ハートフルな面白さも兼ね備えられいます。
私も、久しぶりに、タオルで涙をふきふきしながら
観ました。
最高に泣いたのは、
最後の裁判を回想しながら、
大人になったイェスンが、弁護士はじめ、
何故、助けようとしないんだと、涙ながらに訴えかけるところでした。

パク・シネ様の演技が素晴らしく、
イェスンの悔しさが、怒りとともに伝わってきました。
とにかく、子供のイェスンと、大人のイェスンが、
完璧なシンクロ具合で。
完璧なキャスティングだと思います!
2人のシンクロ率が高くないと、泣けなかったと思う。。。

でも、確かに、泣かされたんですけどね。
終盤へ向かっては、いささか興ざめしていた事を、
告白します。

裁判の前に長官に脅されて、それを反芻しながら、
自分がしたんだと・・・・そういう選択をしてみたり、
最後のシーンで、自分がこれから死刑になるという事を理解している
・・・という流れが、ちょっと違和感だったかな・・・と
思うんですよね。
多分、泣かせたいポイントだったんじゃないかな?って思うんですけど。
例えば、「お前が死なないなら、娘を殺す」という脅しではなく、
「はい」とだけ言えば、娘と一緒に暮らせる・・・とか。
そういう騙しの方が良かったし、
死刑の意味も分からず、陽気に死刑場に向かうヨングの方が、
良かったかな・・・って。
そして、気球がね・・・・。
それは、やりすぎだよね・・・と思っちゃって。
発想自体がファンタジーになっちゃうかなって。

7番房のみんなが、ヨングが怖くないように、
死刑場へ向かう事が出来るような企みを・・・っていう方が、
良かったように感じました。
(ビューティフルライフみたいな・・・)

重くて悲しく、人の優しさにも触れる事の出来る
ハートフルな作品だけれど、
弱者であるヨングは無実の罪で死んでしまったのに、
彼を死に追いやった長官や警察、社会が、
その代償を払うことはない。
そして、不思議なことに、その点への怒りがあまり残らない。
それは、あまりに警察をクソに描き過ぎて、
逆に真実味がなかった事や、
(ドラマの為の描き方)
父と子の別れの、
その先のシーンが描かれてなかったせいじゃないかと思うんですね。
ファンタジーの気球と、
父と子の、悲しい別れにかき消されてしまったのは、
本来、いつまでも心に残るべき「怒り」だったんじゃないかと、
感じてしまいました。

同じような作品だと
名作「グリーンマイル」でしょうか。
原作も、映画も泣けます。
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