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インシディアス 第2章のkuuのレビュー・感想・評価

インシディアス 第2章(2013年製作の映画)
3.8
『インシディアス 第2章』
原題Insidious: Chapter 2.
映倫区分G.
製作年2013年。上映時間106分。

低予算ながら(はわずか3週間で撮影されたそうです)全米で大ヒットを記録したホラー『インシディアス』(2010)の続編っす。
タイトルは、原題のチャプター2の方が個人的に好きかな。

夫ジョシュと妻レネ、そして3人の子どもたちを襲った悪霊が去り、ようやく平和になったかに見えたランバート一家だった。
しか~し、ジョシュが何者かに憑依されてしまう。
ジョシュは幼い頃から幽体離脱をして霊の世界とつながる特殊な能力があり、それを恐れた母親によって記憶が封印されていたことが判明する。
ジョシュにとり憑いた霊は、ランバート一家や霊媒師たちに害を及ぼしはじめ、彼らはその霊の正体を突き止めるため封印されているジョシュの記憶の世界へと入り込んでいく。。。

映画興行的に成功した作品の続編てのは多くがしらける。
しかし、例外はある。
『ターミネーター2』
『ゴッドファーザーPART II』
『エイリアン2』など。
今作品も個人的にはその末席ながら数えれる一本かなぁと感じました。
1作目の力強さや、インパクト、そしてサスペンス要素の半分もないにもかかわらず、今作品は前作を決して損なわへん秀作やと思います。
1作目のキャラや、環境、そして歴史を維持したまま、物語を引き継いでるし、ある種の時間的パラドックスを生み出してた。
特定のキャラが時間的に前進したり後退したりするこのパラドックスは、人によっては多くの混乱を招く要素やろけど、小生は意外にも対処できたし、面白いとさえ思えた。
この物語によくマッチしとんなぁって思います。
実際、両作品の絡み方は実にスマートかな。
ただ、残念なことに、前作を見ていない方にとっては、見ているものの一部を知らないため、あれ?ってなってしまうことがあるんちゃうかな。
また、作中、コミカルなフラッシュを導入しとんのは、私的ながらちょい辟易し始めた。
前作のような緊張感や密度が本作には少ないので(あくまでも前作と比較して)、これは恐怖の緩和機能には小生にはならんかったかな。
俳優たちの演技は、1作目に敬意を表した続編やし、1作目で達成されたインパクトはないものの、巧妙に展開された作品であると言えるし、俳優陣は力入ってたし、脚本とストーリーも良いし、それに皆さん良く演技で怖さを作ってたなぁ。

音楽も前作同様にゆっくりとした音楽と、盛り上がりが神のように怖かった。
いや、音そのものが地獄って書く方が良いかな不気味やったし、ビビらしてくれる優れてる。
また、動画を撮るシーンや交換するシーンの開始時のカメラワークが良かった。
ジョシュの起源、
ソウルに閉じ込められたこと、
体を持った花嫁の息子、
老人のようなニュータイプキャラ、
巧いなぁ。
ほんで、最後にゃタイムトラベル話。
何か説明してくれるんかと期待したが、無いんかいっ。
余談ながら、
スペインの吹き替え版やと、エリス・レイニアが『The Further』と呼んでいた領域は、単に『Limbo』と訳されてたそうです。
神学やキリスト教やと、Limbo(後期ラテン語の "limbus"、文字通り "裾 "や "境界 "を意味するチュートン語から派生した言葉)てのは、広く受け入れられている天国と地獄の間の領域または次元であり、そこにはキリストの復活以前に死んだ者(天国に入るための神の救済を受けていない者)の魂が宿っていると説かれてる。
キリストが復活する前に死んだ、つまり天国に入るための神の救済を受けていない子供の魂や、天国に入るには十分ちゃうけど正義の味方の魂が、天国での永遠の命を得るためにやり残したことを解決しなければなへん。
煉獄と違うので混同しないで。
魂が罪を償い神の慈悲を受けるために苦しむ場所ですので。
リンボの概念は聖書には記載されておらず、ローマ・カトリック教会も公式には認めてへんが、バチカンはリンボの存在を信仰のドグマとしてではなく、多様な中世の理論や信念に基づいた構築物として認めてた。
しかし、2006年に当時のローマ法王ベネディクト16世が『リンボはもはや存在しない』と宣言し、死んだ子供たちに自動的に神の慈悲を与え、天国への入場を保証したそうですので、バチカンは今作品のストーリーの根底から否定してると云えるかな。

映画のラストシーンで、スペックとタッカーが苦悩していると思われる家族のもとにやってくると、幼い女の子が幽霊になったエリスの姿を目にする。
スペックとタッカーが両親に自分たちの正体を説明している間に、エリーゼは家の中に入り、昏睡状態にある別の女の子に近づき、話しかけ始める。
そして、彼女は錆びたようなパチパチという音を聞き、少女の背後を見ると、何か恐ろしいものを見て、息を呑む。
その音は、1作目に登場した『口紅顔の悪魔』が爪を動かしている音やった。
第3章が前日譚やとは事前に知ってますので、第3作目にして、あの存在が戻ってくることを期待して、続いて観てみたいと思いますっ。
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