ヒノモト

ある精肉店のはなしのヒノモトのレビュー・感想・評価

ある精肉店のはなし(2013年製作の映画)
4.0
纐纈(はなぶさ)あや監督による2013年のドキュメンタリー作品。

代々受け継がれている個人経営の精肉店において、牛の飼育から精肉までを一貫して行う行程、代々使用してきた屠畜場の閉鎖、部落差別の問題まで広がる内容です。

今年公開された「私のはなし部落のはなし」を観た際に、屠畜場で働く人、またはその地域が差別を受けるという事実について調べる中で、今作にたどり着き、タイミングが合い、映画館で観ることが出来ました。

以前、ドキュメンタリー映画「いのちの食べかた」で食肉工場の実情を目の当たりにしていましたが、屠畜場の現場は初めて観たので、その瞬間のショックは大きいですが、働く人たちのおかげでいのちをいただいているという事実を受け止めることはできました。

各部位の切り分けや、無駄になる部分がほとんどなく利用されていく流れや、先代の思い出や受け継がれる思い、伝統や祭り、今も残る部落の問題、多岐にわたる場面を鮮明にかつ手稲に記録されている姿勢に、感銘を受けました。

時代の中に黙殺されている事実を話せる、話せないの境目があるとは思いますが、寄り添うような目線で描かれた映像記録として、価値のある作品だと思いました。
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