伊達巻

ある精肉店のはなしの伊達巻のレビュー・感想・評価

ある精肉店のはなし(2013年製作の映画)
5.0
ちびの頃から当たり前のように通っていた地元の魚屋さんは何年か前に閉店してもう今日のオススメを聞くことも美味しい魚の秘密を教えてもらうことも豪華すぎるオマケを頂くなんてこともなくなった。その近くにはお肉屋さんがあってこちらは今も続いていて此間は母の誕生日のためにローストビーフを作りたいんだけどと話してみたら懇切丁寧に作り方を教えてくれた。疲れたバイトの帰り道にヒレカツ1つ買わせてもらったりしているこの肉屋が無くならないでほしいと思っていた矢先にこの映画のことを知って観ないわけにはいかなかった。肉を、生命を頂くということ。自分が自分として生きていくということ。ひとつ屋根の下で生きるということ。苦しむこと。悲しむこと。笑うこと。あまりに多くの大切なものがこの映画の中にぎゅうぎゅうに詰まっている。いい肉の日の前日にこれを観た。脳天かち割られて死んだ牛が捌かれ、枝肉となり、さらに切られ、想像もつかないくらいたくさんの工程を経て、やっと私たちの知る肉の形になる。びっくりしちゃうくらいすべてのショットが素晴らしくて、そこでも心が動かされる。祭のとこもやばいがとりわけ食卓を囲んでみんなで焼肉してるシーンがあまりにも良くて何度も思い出してしまう。本当にいい映画、めちゃくちゃ面白かった。美味しいは、感謝だ
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