ナイトメアシンジ

蝋人形の館のナイトメアシンジのネタバレレビュー・内容・結末

蝋人形の館(2005年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

「映画『蝋人形の館』をあらすじとネタバレで紹介する理由」

今日、ご紹介するのは、映画「蝋人形の館」です。
タイトルからホラー感バレバレですが、これが最期まで飽きさせない。
(老若男女のホラー・ムービー好きにおススメできる映画)

映画「蝋人形の館」の原題は、”House of Wax”
(このタイトルが終盤に意味を持つ)

”蝋人形”と言えば、悪魔教教組で10000歳超える御年、デーモン小暮閣下の「蝋人形の館」の”お前も蝋人形にしてやろうか~!”の言葉が思い浮かびますよね。
(今や、ただの相撲解説者ですけど)
この古典映画が元ネタ?
(江戸川乱歩説有力だけど)

ホラー映画「蝋人形の館」は2005年公開。
(日本公開は同年10月22日)

上映時間は105分。

映画「蝋人形の館」はアメリカとオーストラリアの合作映画。

映画「蝋人形の館」はチャールズ・ベルデン作の舞台「The Wax Works」を基にした作品で、1933年、1953年に続く3度目の映画化になります。
(50年以上前の題材を現代風にリメイクしたわけですが、これがかなりイケてる)

監督は、これがデビュー作品になるスペイン出身のジャウム・コレット=セラ。
(衝撃のラストがホラー映画史に残る2009年の「エスター」の監督です。その後はリーアム・ニーソン主演のサスペンス・アクションを数多く撮っています。中でも2011年公開の映画「アンノウン」はヨーロッパ映画賞観客部門にノミネートされています)

映画「蝋人形の館」は出演者もそうそう悪くありません。

恋人との関係に悩むカーリー役にエリシャ・カスバート。
(ご存知、アメリカの大大ヒットテレビドラマ「24-TWENTY FOUR-」のジャック・バウアーの娘キムです)

カーリーの双子の兄ニックにチャド・マイケル・マーレイ。
(2003年ジェイミー・リー・カーティスとリンジー・ローハンの母と娘の入れ替わりコメディ「フォーチュン・クッキー」に出てます)

カーリーの恋人ウェイドにジャレッド・パダレッキ。
(アメリカテレビシリーズ「スーパー・ナチュラル」のウィンチェスター兄弟のサム)

カーリーの親友ペイジにパレス・ヒルトン。
(あのヒルトンホテルの創設者コンラッドの曾孫でお騒がせタレント)

アンブローズに住むガソリンスタンドの主人ボーにブライアン・ヴァン・ホルト。
(筆者大好き、2001年の戦争映画「ブラックホーク・ダウン」に出演しています)

どう、そそられるでしょ?

では、映画「蝋人形の館」のあらすじをご紹介します。


映画「蝋人形の館」あらすじ

カーリーは親友のペイジとともに、大学フットボールの試合を観戦しようとお互いの恋人、ウェイドとブレイクとともに車でスタジアムに向かう。用心棒替わりにカーリーの双子の兄ニックとその友人ドールトンも同行することになる。

一行は途中、キャンプ場で一泊するが、正体不明のトラックの嫌がらせを受ける。

翌朝、ウェイドは自分の車の部品が抜き取られていることに気づくが、近くの町、アンブローズまで車で送ってくれるという動物の死体処理をする男の車にカーリーはウェイドは乗り込む。

アンブローズは小さな寂れた町だった。ガソリンスタンドの経営者ボーが葬儀中だったため、カーリーとウェイドは町を散策するが人影はなく、二人は、丘の上に佇む大きな建物「トルーディーの蝋人形館」を訪れる。

休館中にもかかわらず、鍵は開いており、好奇心に駆られたカーリーとウェイドは中に入ってしまう。そこには、精巧に作られた本物そっくりの蝋人形たちがいた。あまりの出来栄えに、かえって不気味さを感じるカーリー。

葬儀を終えたボーに車で家まで案内されるカーリーとウェイド。カーリーはその車が昨夜、キャンプ場に侵入してきたトラックだと気がつく…。


ネタバレなし。あらすじも導入部まで。
しかし、ここからは、ガンガン行きます。

映画「蝋人形の館」の面白いところはネタバレしないと語れない

カーリー役のエリシャ・カスバートは兄のシャツを着るシーンのサービス・ショットを披露。
(2004年映画「ガール・ネクスト・ドア」で拝見してはいます)


ペイジ役パレス・ヒルトンも決して、お芝居は上手と言えませんが、下着姿で見事なプロポーションを披露。
(中盤であっけなく消えますが、その殺され方もグー!)

ペイジは大きな杭で殺人鬼に頭を射ち抜かれる無残な死を迎えます。
(”潔い死に様”にパチパチと拍手。パレス・ヒルトンやるじゃん!)

ネタバレ必死で説明したい絶妙なディテールも、てんこ盛りです。

アンブローズで生きている人間は”殺人鬼兄弟”だけ。
後は総て、死体を固めた蝋人形です。
(大量殺人鬼!)

蝋人形だらけの映画館で上映されている映画は「何がジェーンに起こったか?」です。
(1962年に公開された筆者の尊敬するロバート・アルドリッチ監督のサスペンス映画。この映画も”監禁と兄弟の確執”を描いている)

映画「蝋人形の館」の殺人鬼はシャム双生児。
(体が結合している双子兄がボー)

外科医の父親が二人を切り離し、弟は右半分の顔が不完全。
(普段フェイスマスク姿の弟はヴィンセント。ブライアン・ヴァン・ホルトは見事に2役を演じている。1981年のカルト・ホラー映画「死霊のはらわた」のブルース・キャンベルに雰囲気が似ている感じも良い)

主人公のカーリーとニックも双生児。
(おそらく二卵性)

”この「蝋人形の館」は、実は双生児同士のバトル・ムービーなのだ!”
(お互いが気づいていない。知っているのは観客のみというエッセンス)


ラスト近く、ボーの亡骸の上に落ちて、重なり合うヴィンセントの死体。
(二人は再び、シャム双生児に戻る)


通常であれば、ヒーロー、ヒロインは命辛々、殺人鬼の屋敷を抜け出して”ジ・エンド”ですが、この「蝋人形の館」は後半、火災になり、ドロドロに溶け出します。
(「トルーディの蝋人形館」は建物自体が蝋で出来ている設定)

カーリーとニックは殺人鬼兄弟と足元や天井が溶け出す館で死闘を繰り広げ、崩壊する建物から脱出します。
(もう、B級ホラー逸脱して、一大スペクタクル映画のクライマックスじゃないですか!)

ニック役のチャド・マイケル・マーレイは”儲け役”。

チャド・マイケル・マーレイはフットボールの強化選手に選ばれたのに車の窃盗で捕まって一生を棒に振り、妹のカーリーが警察に”自分を売った”と勘違いしている自暴自棄なワル風ニックを見事に演じています。
(実は友人ドールトンの罪を被り、命がけでカーリーを助けるホントはいいヤツ)

”地図に載っていないアメリカの過疎地”なんて、ありそうな感じ出で引き込まれますし。
(撮影はオーストラリア)

”兄弟は2人でなく3人”と明かされるラストも次回作も作れるよ~的で○。

筆者は基本、勧善懲悪モノが好きなので、この映画「蝋人形の館」はさらにプラス査定。

グロテスクなシーンは多いし、「スーパー・ナチュラル」ファンは肩すかし。
でも、見ておくべきホラーであることは間違いない。
(ネタバレですいません)

”今宵も悪夢は世界のどこかで誰かが見る”

(ナイトメア・シンジ)