ひでやん

胸騒ぎの恋人のひでやんのレビュー・感想・評価

胸騒ぎの恋人(2010年製作の映画)
3.8
恋の胸騒ぎにマシュマロが降り注ぎ、恋の終わりに雨が降る。

バンバン。撃たれっぱなしの心に銃あれど、向けて放つと空砲なり。ゴダールやトリュフォーが描いた男ふたり女ひとりの構図も、ドランが描けば美青年を取り合う構図。ベッドで眠る時もブランコに乗る時もニコラが真ん中で、3人の位置がそのまま関係性を表している。

アスペクト比いじりは無いが、これぞドランという映像表現。足から顔へのパンアップ、触れ合う手、並ぶ背中、見つめる瞳など、部位のショットがブイブイ言わす。音楽とスローモーションがマッチした日常風景の中に「胸騒ぎ」を描き、ストロボライトに合わせたニコラとダヴィデ像のモンタージュは流石。

ダヴィデのようなニコラ。2人がプレゼントしたカンカン帽とタンジェリンのセーターがよく似合う。セックスフレンドといるマリーを赤や黄色の暖色で、フランシスを青の寒色や緑の中性色で映し出すも、心ここにあらずのふたり。凹んだ数だけ壁の印。凹んだ数だけ煙草の煙。傷ついたふたりが並んで歩けば、秋の終わりに雨が降る。で、季節が巡り…バンバン。このラスト笑った。

三角関係と関わりのない恋愛トークの内容が全然頭に入ってこなかった。実験的な手法ではあるが、要らないやって思った。かくれんぼの鬼ってワインを数えるのかい。お洒落だな。
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