Liz

それでも夜は明けるのLizのレビュー・感想・評価

それでも夜は明ける(2013年製作の映画)
3.8
南北戦争前のアメリカ、奴隷制度の存在によって12年という長い年月の自由を失わされた黒人男性のお話。

北部ニューヨークで家族と裕福に暮らしていた自由黒人のヴァイオリニストであるソロモンが、仕事の話として2人の白人男性に誑かされ、ワシントンにて拉致、その後南部で奴隷として売買されてしまい、12年もの間、綿花農場での奴隷生活を強いられてしまいます。
希望を失わず、家族へ自身の現状が伝わるよう手紙を出そうと試みますが、頼ろうとした同じ綿花農場に奴隷として雇われた白人の密告により失敗。
また年月を経て、農場に仕事をしに来た「奴隷制は悪」と発言した大工の白人に、家族への手紙を出してくれるよう自身の身の上を話すとともに懇願。
そして、それがようやく実を結び、奴隷から解放されて家族と再会するのでした。

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今の時代だからこそ、誘拐、傷害と様々に相手を断罪できますが、この映画の結びにあったように、奴隷制度が、人種差別が、平然と法律としても存在した時代であるが故、相手を罪にも問えないという何とも報われない事実がその時代には確かにあったのだと悲痛な気持ちになりました。
痛々しい描写も多々あり、見るのがちょっときつかったですが、映像化の本気度が感じられたので凄いなと思いました。

私は、白人、黒人、有色人種である自分自身も含め、「肌の色で、瞳の色で、髪の色で、人としての存在価値の何が変わるのか、否、変わらない」ということは、有難いことに現代に生まれ、良く理解できているはずです。
その上でこの映画をどう見るか、人種で差別しないということとは、人権を尊重するということとは…まだまだ考えられることがあるだろうな、と思っています。
悪法も法なり、歴史としての正義と悪は両面を見てからこそ、その善悪を理解できると思うので、アメリカ奴隷制の変遷、少し調べてみようと思いました。
Liz

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