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それでも夜は明けるのこのネタバレレビュー・内容・結末

それでも夜は明ける(2013年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

奴隷制度と格差社会の辛さをまざまざと見せつけられる。
ソロモンは元々自由黒人という身分の高い人であったから愛する家族のもとへ戻ってよかったね、という結末を迎えるが、南部に残されなお奴隷として虐げられている人たちはそこで一生を終えることが当たり前にあるんだろうと思う。
殺してくれと頼むパッツィーになぜそんなに絶望するんだ、一時のことだ、いつか救われるとソロモンが答えるシーンがあるけれど、それは本当か?
いつか救われる、いつか帰れるという少しの希望を見出せるのはソロモンが自由黒人だったからではないかと思った。パッツィーはあの後どうなったんだろう……

白人も全員が凝り固まった極悪かと言われるとそうでもない場合もある。
子と引き裂かれる親に可哀想と思いながらも、寝床と食事を与え「子のことは忘れなさい」という。
おそらく悪い人ではない。制度が悪いんだ。すごく根の深い問題だと思う。
制度として社会が成り立っている以上、壊すためには制度の中に生きる人たちが善悪をきちんと認識し変わっていかなければいけないと感じた。
現代では、自分たちが生きる制度にはそういう過ちは本当にないのか?自覚がないだけで実は社会としての悪に加担しているのではないか?
なにごとも客観的な視点を持ってきちんと善悪を見極められる人でありたいと思った。
観ておくべき映画でした。

映画としては長回しのシーンが印象的。
特に主人公ソロモンがギリギリ足が届く高さで首を吊るされ身じろぐシーンが不自然に長尺で、周囲で行動する人々からは静謐さすら感じる。ものすごい表現だと思った。
ムチや首吊りといった残虐な仕打ちが日常的な光景となってしまっていることが伝わってきてもう観ていられなかった……
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