調伏系V魔虚羅

それでも夜は明けるの調伏系V魔虚羅のレビュー・感想・評価

それでも夜は明ける(2013年製作の映画)
3.7
1841年、ニューヨーク。家族と幸せな生活を送っていたバイオリン奏者ソロモンは、ある日突然誘拐され、奴隷にされる。彼を待ち受けていたのは、狂信的な選民思想を持つエップスら白人による目を疑うような差別、虐待、そして”人間の尊厳“を失った数多の奴隷達だった。妻や子供達と再会する為、彼が生き抜いた11年8ヶ月と26日間とは──。

各々の心理としては、米国で行われたスタンフォード監獄実験に近いのだろう。スタンフォード監獄実験とは、刑務所を舞台にして、普通の人が特殊な肩書きや地位を与えられると、その役割に合わせて行動してしまうことを証明しようとした実験だ。
今では誠に信じ難い程に残酷な”国“が定めた奴隷制度。このふざけた法律を特殊な肩書きや地位として、その役割に合わせ、どんな卑劣な行為も法律に則ったものなのだからと自身を正当化する。人間の適応能力の高さ、浅はかさ、愚かさの闇。そういった腐り切った闇を本作ではこれでもかと露わにさせる。
本作で特に印象に残るのが、木に首吊られている人間がいるのにも関わらず、普通に作業を開始し始める長回しシーン。人が首吊られ、死にかけているこの異常事態が日常の一部という異常。もはや恐怖すら覚える。
調伏系V魔虚羅

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