M少佐

それでも夜は明けるのM少佐のレビュー・感想・評価

それでも夜は明ける(2013年製作の映画)
4.5
 「私は自由黒人なんです!」

奴隷制の残るアメリカ。
北部で平和に家族と生きる男。
彼はヴァイオリニストとしての名声も得ていた。
しかし地方巡業と騙され奴隷商人に売られてしまう。
黒人と言うだけで…
南部へ移された彼は何とか自由を得ようとするが。

原題の通りに十二年間も奴隷として生きた男の実話。
とにかく当時の白人の富裕層の感覚の異常さ、人を家畜として物として扱う残酷さ。
全て神の思し召しと言い訳をしながら行うのも歪で気持ちが悪い。
何より主役は地位も名誉もあり、一般教養も備えた立派な男。
それなのに一部の身勝手な白人の小銭稼ぎの為に売られてしまう。
突然に人権も生活も家族も奪われてしまう。
想像を絶する個人の悲劇と同じ境遇の黒人達。
見るのも辛いシーンの連続です。

こんなことが普通であった時代を繰り返さない為にも見ておくべき作品。

事の顛末はラストに語られますが本当に、いたたまれない気持ちになります。
M少佐

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