リタ

それでも夜は明けるのリタのネタバレレビュー・内容・結末

それでも夜は明ける(2013年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

監督のスティーブマックイーンって凄い名前だな

ハリウッド用に名前変えたりしないのか
堂々としてかっこいいな、とか思うのは
…変だよね。自分の名前なんだもんね。

2011年にCBEを授与
前から有名な映画監督なのか、知らなかった


イギリスが中心の制作で監督イギリス人で
俳優もイギリス人多く使っててアメリカの話。
ってちょっとだけ不思議。

でもブラピがプロデューサー筆頭。

しかしながら鍵となる超良い役はブラピ。
ブラピの長台詞立派過ぎ。笑



静かで痛々しい長回しが多くて
息の詰まるような緊張感の途切れない映画だった

実際日が暮れるまで首を絞められてた描写もあったな
見てるだけで呼吸浅くなったわ




主演俳優、一緒に船に乗った女の人、
パッチィ、とみんな表情とかすごいうまかった

パッチィの女優、しかもめちゃ綺麗だった。

でも背中の傷が生々しくて見てられんかったわ…

パッチィその後どうなってしまったんだろう

彼女が信頼してた主人公がいなくなって、
微かな希望さえ消えたなんて。




悪役に注目しがちなんで…

ポールダノすごい。
歌歌い始めから小物悪党感がビシビシ伝わる。
イカダ見つめる顔が不気味過ぎた

ごめん!やめて!とかはうけた
こういう役ポールダノにやらせたらピカイチよ


マイケルファスペンダーもすごい
よくあんな役引き受けて全うしたよなと思う

雇人への執拗な虐待だけでなく
レイプ、パワハラ、妻へのモラハラ

現代アメリカではひとつでも犯したら
社会的に即抹殺されるだろう悪行しか!していない!

小児性愛を感じさせるような描写もあって
吐き気するほどのゴミだったな


サーカスの二人組も怖かった
あんなに明るくて朗らかに見えたのに。

薬でも盛ったんだろうな
可哀想に、って言って去るなんて
同じ目にあってもその程度の同情を受けるか?っての
頭空っぽなのかよ

悪意が一方的過ぎたよ
主人公になんの非も無いんだから




黒人差別の映画はいくつか見て
南部で奴隷扱いされた人達が
どれほど過酷で非道で残忍な扱いを受けたか
少しだけは知ってるつもりでいたけど

1851年って
リンカーンが修正13条通した頃より15年近く前よね
その時にはもう主人公のように暮らしている人が
一部はいたんだね、知らなかった
少しだけ安心した

けど逆にNYでの自由黒人の暮らしと
南部の奴隷の暮らしとの格差が大き過ぎたのも
ショックだった


肌の色が違っても共生している場所がある時代に
同じ人間だと認めない人がいたのは何故だろう?

教育?慣習を正しいと認識してしまうのか

ブラピも法が間違っていることもあると言ってたね

悪法だと分からないのかね。
目の前で泣いて苦しむのを見てなんとも感じないのか


カンバーバッチみたいな優しい主人とか
船で居合わせた人を迎えにきた旦那様とか
罪悪感を覚えてたって言う元監督官とか

黒人に対する良心を
それなりに持ち合わせてた人もいたみたいだけど

南部の人達はみんなモノみたいに売り買いして
傷付けても殺しても罪にならなくて

こんな恐ろしいことが現実にあったなんて
信じたくないよなぁ
しかし今でもないわけじゃないからな。
世界各地でいろんな人種に対して迫害が起きてる




分かっていても抗えない、
逃げられない状況なのが本当に怖かった
ただ従うしか生きる道はないんだもんな

法律も経済も、社会の構造全部が
虐げられた人を虐げたられたままにするんだな




そういえば、奥さんの鞄買った時に
店に使用人と主人来たけど
意味有り気に映った意味がよくわかんなかった

NYでも差別はされていた、ということか?
あの使用人は何故ついてきたんだろう

店主がMr.パーカーさんだったと思うから
その伏線でもあるんだろうけど…あの2人はなんだ?

奥さんの仕事何か語られなかったけど
調べたら料理人らしい。
夫婦揃って手に職あって
出張あるほど引っ張りだこってカッコいいな




構図とか色とか美しい映画だった
冒頭からずっと無駄がないし
俳優もみんな素晴らしかった

脚本もかなり原作に忠実なようだし
派手な編集とか鼻につくメタファーとか無くて
(回想シーンのテクニカルな挿入を除いて)
自然で正直な映画だと思った。

こういう硬派な映画は珍しいのかも。


見ただけなのにしんどいし暫く引きずるだろうけど
見て良かった


ただ邦題はきらい。
リタ

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