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富江 アンリミテッドのYSKのレビュー・感想・評価

富江 アンリミテッド(2011年製作の映画)
3.8
『富江』シリーズ(10年前だけど)最新作にして、(今のところ)最終作の『アンリミテッド』
『片腕マシンガール』をはじめとして、まるで漫画のような世界観を悪夢のような色彩とビジュアルに落とし込む、彼がやらねば誰がやる、鬼才・井口昇!
さらに言えば今作で『富江』を演じた仲村みうのビジュアルが文句のつけようもないくらい完璧で、特に教室で席につきながら後ろを振り返る姿と、自宅でバスタブに浸かっているシーンは涼し気な目元と陶器のような白さが相まって人間離れしており、ここまでおぜん立てされていれば勝ったなガハハ、風呂入ってくる!

ちょっと真面目な話をすれば、今までのシリーズはいわゆる「ヒトコワ」な富江の恐さに照準を当てており、殺しても殺しても血の一滴、骨の一片から蘇ってくるという不死性はあるものの彼女の魔性ともいえる魅力によって周囲にいるもしくは関わった人間の人格が崩壊していく様を楽しむ作品でしたが、やはり井口監督が関わったらそんなものでお茶を濁されるはずもなく、しっかりと今まで見たこともないくらい「バケモノ」としての富江の良さを引き出していたと思います

特に終盤、自宅を舞台に主人公の月子らが富江によって手玉にとられるシーンは特に素晴らしく、一見冗談のようでいて凡百の監督がやればうすら寒い冗談で終わってしまうようなビジュアルを、「やりすぎくらいがちょうどいい」と思ったかどうかはわかりませんが冗談に冗談を重ねることで現実離れした一枚絵として成立させてしまったのではないかとすら思います、つまり勢いがすごい

両親はともかく柔道部の冗談が過ぎたせいで緊張感が殺がれたことと、あんな至近距離でフラッシュ撮影したら迷惑じゃないのかなというところを除けばかなり満足度は高めです
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