おばす

ウォルト・ディズニーの約束のおばすのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

観る前は知的好奇心に働くようなものなのかなと思ったけど、情緒が揺り動かされた。
世の中の父親と、娘に捧げられた物語なのかな?と。ディズニーの話というよりは、メリーポピンズの作者にフォーカスを当てた話だった。

最初はよくわからなくて、メリーポピンズの作者に対して、なんだこの偏屈頑固おばさんと思っていた。それで話をつかむのが大変だったけど中盤からぐんと入り込めて、気持ちと痛みを夫人と分け合って、ウォルトの言葉に泣く。
ウォルト・ディズニーさんがイギリスまで追いかけて説得した部分は何度もみかえしたいくらい名場面じゃなかろうか。創作者とか、物語が好きな人と、物語を作りたい人は見たら思うところが多少はあると思う。

運転手との友情も心に沁み渡る良さがある。最初は頑固偏屈を発揮してたけど運転手が父親とわかって、悩みを共にして、仲良くなっていく。
最後のプレミアのシーンでも
「友人が私を必要としている予感が」
って登場するのかっけーーー!!私もこう言って登場してーー!!!と憧れを持ってしまうような友情でもあった。

メリーポピンズが、彼女が「こうありたかった幸せ」だったというのが最後の号泣シーンに凝縮されていた。声をあげて、顔をくしゃくしゃにしているのがまた…。

さいごに、この作品には父親がいくつか登場して印象的だった。ウォルトディズニー、運転手、父親のトラヴァース。
3人が違う形で夫人に関わりながら、でも父親であるという同じ属性を共にするものとしてくっきり違ったものを呈していた。
ウォルトは娘との約束を20年かけてでも絶対果たそうとする創作者としての父親として、運転手は障がいを持つ娘を思いやりつつ出来ないことを心配する父親として、そして本当の父親はお酒を飲んで死んでしまった、いってしまえばこの中では一番立派ではないけど夫人の心には大切に残っているものとして。
私もいろんな父親と関わる。自分の父親とも関わる。その立場と苦悩を少しはわかろうとしようと思った。
おばす

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