Same

バッド・ガールのSameのレビュー・感想・評価

バッド・ガール(2012年製作の映画)
2.6
会田誠を映画の冒頭に引用して、女性が性搾取されていることに対して問題提起してる風情出してますが、よくあるレイプリベンジモノの一本です。
会田誠は日常的に女性の性(特に女子高生)が消費されている様子を描いていて、それって賞賛でもないしミソジニー的なものでもなくて、もっと純粋で下世話で幼稚なエロ衝動から出発したものなはずで、文字通り女性が男におもちゃにされて喰われる構図は、この映画そのものがアンチテーゼではなくて性をエクスプロイテーション(搾取)してる事を表していて、搾取してんのは今見てるお前らのことだぞ!みたいなメッセージだったりするのかな。

あらすじ
既婚者と不倫関係にあったシェイは突然振られてしまう。自暴自棄になったシェイはバイト先の同僚ルーと共にクラブへ。そこで知り合った男たちの家に行くが、シェイは帰りに家に送ってもらった所で男の1人サイモンに暴行されてしまう。
警察に被害届を出しに行くシェイとルー。
そこで軽くあしらわれてしまったことで、ルーから自らの手でリベンジする事を持ちかけられる。
ルーは女性を性の対象としか見ない男たちを容赦なく殺すバッドガールだった。ルーの指南でリベンジを開始したシェイの行く末は…

なんだかんだ能面被って日本刀で人殺しするセクシーな女殺人鬼を登場させたかっただけなのでは笑
まああの姿こそ男のおもちゃ(性欲と暴力)の象徴みたいな感じでしたけど。何が問題って搾取する側が作り上げた、おっぱいが妙に大きかったり、不自然に露出している性的に誇張されたキャラクターを女性側が可愛いとかカッコいいとか、自ら取り込んでいたりすることですよね。それはもう搾取する側される側ではなくて文化の一部になっちゃうんだなー。根本から変えるには労力がいりますね。

レイプ場面を見せないのは分かりますし、リベンジの暴力シーンもカタルシスを感じさせないあっさりした感じなのも、男性の搾取への抵抗なのだとしたら、なかなか面白いやり方ですね。とはいえそもそものパッケージの仕方がエクスプロイテーション映画なので、どうあがいても見せ物になっちゃってるし、ルーの警官殺しのシーンは搾取への抵抗のようには見えず、ありきたりなレイプリベンジなワンシーンだったから、なんかテーマとやりたいことがぶれちゃってる感じがします。


ネタバレ






多分この映画はレイプリベンジを果たした後からが面白く、シェイのリベンジに手を貸したルーの本心が暴かれます。ルーはその生い立ちから男たちに憎悪をたぎらせている訳ですが、その反動かシェイに執着します。そしてシェイがリベンジ後にいい仲になった男子に嫉妬してぶった斬る訳ですね。ルーも嫌悪してきた男たちと同じく暴力で相手を支配する術しか知らない悲しい女だったのです。
そんなルーを切り殺したシェイは、この搾取の輪廻に生きるのか、果たして?という所で映画は終わります。

テーマは分かるけど、演出とコンセプトを貫く意志の弱さ?から微妙な仕上がりになってましたが、流されるままに殺人を犯していく様子とか、全部終わらせてスッキリした後はあっさり次の男を見つけるあたりリアルなものも感じました。
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