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スター・ウォーズ/フォースの覚醒のrensaurusのレビュー・感想・評価

4.5
新3部作は否定的な意見が多いが、フォースの覚醒は風呂敷が広がる印象と、新たなる希望に通づるドタバタ感があるからか、胸躍らずにはいられない作品だ。

現代っ子も興奮できるようなアクションや大迫力のCGを駆使しながらも、物撮りも程良く取り入れられ、スターウォーズらしさも分かりやすく伝わってくる。新規ファンが増えたであろうことも想像に易い。

出自不明ながら強力なフォースを持つ主人公レイ、元ストームトルーパーのフィン(清掃係という設定は無視したい)、ハン・ソロとレイアの息子でありながらダークサイドに堕ちてダースベイダーに憧れているカイロ・レン。反乱軍の名パイロットでBB-8とバディを組んでいるポー・ダメロン。メインキャストの設定は想像を膨らませられ、新3部作への期待感を上げたものだ。

今作のメインプロットは旧3部作の脚本や設定を意識したものがほとんどで、新しさにはフィンとハックス将軍が組み込まれている印象だ。銀河征服寸前のファーストオーダーを止めるべく、唯一の望みに思われた伝説のジェダイ、ルーク・スカイウォーカーの居場所を記した地図がある。というのは新たなる希望のデス・スターの設計図をオマージュしたものであろうが、「何で居場所記す地図があんねん」というツッコミは不可避だ。その地図をポーがBB-8に預ける件もレイアとR2-D2そのもの。貧乏で親を知らず、惑星ジャクーから出られないレイは、タトゥイーンでのルークを思わせる。今作最大の事実、ハンとレイアの息子がファーストオーダーのカイロ・レンという設定は、帝国軍のベイダー卿の息子が新たなる希望であるルークという設定と対をなす設定だ。ここでも血筋、親子の物語が軸になっており、これぞスターウォーズだ。最後にはデススターの巨大盤、スターキラー基地を破壊することでフィナーレを迎える。

スターウォーズサーガ全体を通してもカイロ・レンはトップレベルに好きなキャラクターだ。彼は今作でダースベイダーが始めたことを終わらせると言う。個人の解釈では、帝国の逆襲で、ルークを誘うときに言った「ダークサイドの力で銀河を制圧し、無益な争いを止める」というものだと思っている。その望みを叶えるために、彼は光の誘惑と闘っているという。なんて魅力的なのだ…。その葛藤の末、父であるハン・ソロを殺してしまう。旧世代はたまたダークサイドとレジスタンスという対立関係全てを背負って彼は戦っているのだ。しかもスカイウォーカーの血を引き、ルークの指導も受け、まさに主人公のような素質と心を持っている。

以下は今作から想像したことを書いていく。カイロ・レンは、ダークサイドの力で平定をもたらそうとするはずだが、フィンやハックス将軍はダークサイドから生まれたジェダイ、はたまたレジスタンスとなるだろう。ダークサイドからも光が生まれ、争いが終わることがないと悟ったレンはダークサイド、レジスタンスをどちらも滅ぼし、どちらにも属さない新たな統一秩序をもたらそうと考えるのである。その過程でジェダイとなったフィンを殺害してしまい、レイが憎しみからダークサイドに堕ちてしまう。レイは、ファーストオーダーの黒幕でありダースシディアスの師である、ダースプレイガスから、レイがミディクロリアンによって生まれた選ばれし者であることを教えられ、その力を絶対的なものにするべくルーク、レイア、ベンの殺害を目指していく。ルークはレイが、レイアはベンが殺してしまい、レイとベンが直接対決を迎えていく。レイは友人であったポーを、ベンは唯一理解があったハックスを殺害してしまい、争いを止めるべきだと気付く。レイとベンは共闘でダースプレイガスとの最終決戦に望む。見事勝利した2人は長続きしないことを悟りながらも新たな秩序をもたらして行く…。

こんなことを四六時中考えることができる最高の映画だ。
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