かつを(@katsuwow)

最後の晩餐のかつを(@katsuwow)のレビュー・感想・評価

最後の晩餐(2013年製作の映画)
3.8
シネスイッチ銀座にて

最終日の最終回にようやく観られた。台湾映画「あの頃、君を追いかけた」のタイプかなーという程度の知識でしたが、Twitterでの評判が良かったので。
これは完全に偏見なんですがフランス映画の評判Tweetは「知ってる人は知ってる」的なコメントも多くて素直に参考にできない自分もいるんですが、台湾や中国映画はそれほど自分の期待値と違うことがないので、不思議です。

さて、物語は高校生の時から仲が良かったチャオチャオとリー・シンの別れてから5年越しのストーリーを、上海と北京で描いています。
高校生の時のお弁当のエピソード、そして本格的に付き合い始めてからのリー・シンの作るお料理と彼女の作る器のコンチェルト。微笑ましくて、美味しそうで、食べ物はなんて幸せな気分にしてくれるんだろう、と思わずにいられませんでした。

プロポーズをしたその際に、突然陶芸の道を極めたいと別れを切り出すチャオチャオ。そして5年後にお互い独身だったら結婚しようと契約書を書くところは、なんかどっかで見たことあるような気もするんだけど(笑)心から愛していても、別れを切り出さなくてはならない決意があるんだなぁと単純に頷いていました。

…が、その5年こそ、チャオチャオがリー・シンを変わらず愛している時間の全てだったんですよね。それにリー・シンが気づいた瞬間、どうか間に合ってくれ!と力が入ってしまいました。

チャオチャオも、片時もリー・シンを忘れる訳もなく、再会して突然結婚すると聞かされてからの動揺っぷりが、なかなか素直になれない女の子のセオリーのような反応でありますが、可愛かった。

一々相談役になっているゲイの親友マオマオが家族のようにチャオチャオを心配してて、私もマオマオのような性別を越えた親友がいたら楽しいのに…と思ってしまいました。

リー・シンは、ちょっと濃い目のニックン(2PM)みたいな風貌でしたが、筋肉隆々でたくましくかっこ良かった。紳士だったな…(余韻)

ラスト、全てがわかってからのリー・シンを見て「お弁当は愛の詰まった宇宙だな」って思いました。どんな料理も食べてくれる人を思って作るとは思うけど、お弁当は本当に身近な大切な人に作ってあげるもの。食べてくれる人を案じて作る愛情そのものですよね。改めて母上に感謝しなくてはと思いました。

相手を思って嘘を付き合う2人のもどかしく、愛おしい日々が羨ましくなりました。後味が良かったです。
大切な誰かとご飯を食べたくなる、そんな映画でした。