すずきひろし

ダラス・バイヤーズクラブのすずきひろしのレビュー・感想・評価

ダラス・バイヤーズクラブ(2013年製作の映画)
4.3
Netflix観賞。「チョコレートドーナツ」の主人公が、自然な善意の持ち主だとすれば、本作は、欲の塊のような主人公が、死を前にして、善行をしているという意志すら無く、ただ、必死に生きる予期せぬ結果として、偏見や既得権を超えてゆく。いわゆる善人では無い主人公の行いは、犯罪であると同時に善行でもある。そうした、既存の社会的な価値基準を逸脱した人物像を描くのも、映画の重要な役割、醍醐味なのでは無いか。また、アメリカの草の根保守の正統性の象徴であるカウボーイが、中央政府の正統性と対決し、リベラルの象徴であるゲイとも仲良くなってしまう、というのは、如何にもハリウッド映画的な構図。