backpacker

ダラス・バイヤーズクラブのbackpackerのレビュー・感想・評価

ダラス・バイヤーズクラブ(2013年製作の映画)
4.0
病が育む涙の友情

典型的マッチョカウボーイなテキサス男ロン・ウッドルーフ。
トランスジェンダーの青年レイヨン。
そんな二人の接点は……エイズ。
「ゲイなんて最悪だ!」と罵り、ゲイを毛嫌いしていたロンが、いつしかレイヨンを初めとするゲイの男たちに対して、友情と仲間意識を持ち始め、エイズに苦しむ彼らの命と権利を守るために私財を投げ打って闘うようになる。
余命1ヶ月の宣告から7年後の1992年、長き闘病とエイズ患者達の為の活動の果てに、ロンは亡くなったのであった。


なんとまあ、壮絶な人生、壮絶な実話ですね。
〈成り上がりを夢見る男が、弱者救済をダシに金儲けをしていると、徐々に救済が行動の本質へと変化。最後には、得たもの全てを失ってまで、慈善の為に行動し、静かに死んでいく〉という物語の構造は、『シンドラーのリスト』と同じですね。
『シンドラーのリスト』も初見時号泣(今も見る度泣かされてますが)の構造でしたので、本作も文句なく感動させられました。
流石2013年のアカデミー賞やゴールデングローブ賞を席巻しただけのことはあります。

「マッチョな身体を見せつける為によく脱ぐマコノヒーが、ここまでヒョロヒョロになるなんて……」という衝撃的なビジュアルは、マシュー・マコノヒーが約17キロ、ジャレッド・レトが約13キロの減量によって成し遂げたもの。コレがまだ迫真の演技の連続。アカデミー主演&助演男優賞を取るのも頷ける、鬼気迫る名演技でした。

エイズを題材とする映画と考えた時、やはり『フィラデルフィア』が真っ先に思い浮かぶのですが、今後は本作も即座に思い起こされる映画になることは、間違いありません。
2021年末、心臓発作により58歳で亡くなったジャン=マルク・ヴァレ監督のフィルモグラフィーは、『雨の日は会えない、晴れた日は君を思う』意外見たことありませんでしたが、2作中2作が好きな映画なわけですので、全作品鑑賞しなくちゃいけませんね。
backpacker

backpacker