MikiMickle

ダラス・バイヤーズクラブのMikiMickleのレビュー・感想・評価

ダラス・バイヤーズクラブ(2013年製作の映画)
4.4
1985年。ロン・ウッドルーフはテキサスに住む典型的なアメリカ白人。ロデオとギャンブル、酒と女に明け暮れる毎日。
ある日、事故をおこして運ばれた病院で、HIVウィルスに感染している事がわかる。
当時、AIDSといえば、ゲイがかかる病気と言われていた。
以前の仲間からの偏見と差別。
余命3か月と宣告され、自暴自棄になりドラッグや酒に溺れるも、
死の瀬戸際で彼が次にとったのは、政府が承認していない特効薬ペプチドTなどを密輸し、会員制のクラブ「ダラスバイヤーズクラブ」を開き、AIDS患者に売りさばく事だった。


病院と製薬会社の癒着によって実験的に患者に投与された、免疫を低下させ毒性の強い薬AZTの差し止めや、ペプチドTの使用を巡って、製薬会社とFDA(米国食品医薬品局)を相手にしての訴訟までを描いた、ロン・ウッドルーフの実話を基にした映画。

ロン・ウッドルーフにマシュー・マコノヒー、ビジネスパートナーのオカマちゃんレイヨンにジャレット・レト。
まず、この二人の演技が素晴らしい。二人ともガリガリに、もう切なくなる位痩せた姿には本当に役者魂を感じる。でも、決してそれだけではない。パワフルで無骨なロンの、悲しみ・怒り・信念も素晴らしかったし、レイヨンがだんだんと弱っていく姿には涙を隠せない。
2014年、アカデミー賞主演男優賞、助演男優賞受賞。

この映画で、ドラッグラグ(他国では認可されたいる薬が認証されずに、その間に患者が増えたり亡くなったりする問題)の原因となる、病院と製薬会社の癒着問題についてはもちろん考えさせられたけれど、

一番心に残っているのは、ロンの変化だった。
元々はただ自分のために新薬を手にいれ、ゲイを嫌悪し差別していたロンが、徐々に変わっていく………
見ていて、胸が熱くなった。

結局、余命3か月と宣告されながらも7年間生き延びたロン。
彼の、反骨精神と揺るがない信念に心を打たれる作品。
MikiMickle

MikiMickle