平和を祈るヒツジくん

項羽と劉邦 鴻門の会の平和を祈るヒツジくんのレビュー・感想・評価

項羽と劉邦 鴻門の会(2012年製作の映画)
4.5
『秦王子嬰が儂を誑かし、欲望の扉を開いたのだ』
晩年の高祖・劉邦が「儂には敵が2人おった」と回顧する。宿敵・項羽と、自身に付き従った大将軍・韓信。悪夢にまでうなされる劉邦は、かつての功臣たちを呼び寄せる───

中国ドラマって今まで見てこなかったんですが、やはり本場だからこそできる本格的な舞台や衣装などがスゴい。人馬も用意させれば何十頭とエキストラで呼べちゃう豪華な撮影。中国史好きからするとめちゃくちゃ興奮しますね!
この映画で印象的だったのは劉邦の妻・呂雉(呂后)。中国三大悪女の1人で、息子を世継ぎにするためにそれはもう、エも言えぬ残虐な事をする人です。息子も結局皇帝になるんですがショック死するんですよね、あまりの残虐さに。
さて、この呂雉の存在がやはり本作でも異彩を放っている。冷酷で、冷淡で、夫に寵愛を注ぐ彼女。血も涙もない鬼ぐらいに思ってましたが、劉邦の死に涙した場面は面食らいました。役者さんの演技のギャップが凄い。
あと本作で重要なのが韓信。項羽より彼の話がメインになってきます。項羽の元で働いてた彼が劉備の功臣・蕭何にスカウトされ、やがては漢の大将軍として「国士無双」の活躍を見せるのですが、天下統一後に謀反の疑いで投獄。同じく劉邦の功臣・張良に庇われるのですが韓信は「王侯将相いずくんぞ種あらんや(王や宰相になるのに家柄など関係ありはしない」と愚痴を零してしまい、それを呂雉のスパイに聞かれてしまう。
最後の韓信が処刑される場面とラストシーンは哀愁を感じさせます


時系列がぐちゃぐちゃなので歴史の流れが分からない初見の人には難しいかなーと。横山光輝先生の「史記」「項羽と劉邦」を見てからの視聴がオススメです!