冷蔵庫とプリンター

項羽と劉邦 鴻門の会の冷蔵庫とプリンターのレビュー・感想・評価

項羽と劉邦 鴻門の会(2012年製作の映画)
-
 その昔、横山光輝の漫画版を読んでいた誼で何の気なしに見たが、今作は前漢成立後の劉邦がかつてを振り返る構成で、鴻門の会に限らず、垓下の戦いなども盛り込み薄く全体像を拾っていた印象を受ける。特にフォーカスされるのは、疑心暗鬼に陥り、家臣を次々に処刑する痛ましく老いた劉邦と、彼の元で名を馳せた天下指折りの天才軍師でありながら、犯罪の反逆の角で処刑されようとしている韓信である。
 豪傑として描かれがち(少なくとも自分の薄い知識ではそう)項羽を、貴族出身らしく気高く高潔な武将として描き出したところが興味深いものの、正直ストーリーは薄ぼんやりとしてパッとしない印象を受けた。
 異様に殺風景でシュルレアリスティックな宮殿がものすごく不気味なのと、常に身を屈めてゾロゾロと駆けていく官吏たち(宦官だろうか?)がめちゃくちゃ怖いところが強烈だった。怖い。