MasaichiYaguchi

バチカンで逢いましょうのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

バチカンで逢いましょう(2012年製作の映画)
3.5
本作品ではローマとバチカンを舞台にキュートなお婆ちゃんの物語がハートウォーミングに展開する。
このキュートなマルガレーテ婆ちゃんを演じているのが「バグダッド・カフェ」のマリアンネ・ゼーゲブレヒト。
思えば「バグダット・カフェ」から30年以上も経っているが、それなりに年取ったとはいえ彼女の魅力が作品から溢れている。
最愛の夫を亡くし一人となった彼女は、娘夫婦から老人ホーム入居を勧められるが、彼女にはローマ法王に懺悔しなければならないことがあった。
ローマへの家族旅行を計画するも家族の反対にあい、彼女は勇躍一人でバチカンへ旅立つ。
カトリックが重要なモチーフになっているが、堅苦しさや説教臭さも無く、笑いと温もり一杯にマルガレーテのローマの日々が描かれる。
ローマでのバカンス物というと、真っ先にオードリー・ヘプバーンの「ローマの休日」が思い浮かぶが、この作品にもべスパが効果的に使われたり、グレゴリー・ペック的な役割を担うロレンツォというダンディな老人が登場したりする。
マルガレーテはイタリア滞在中の孫娘マルティナの所に転がり込み、何とかローマ法王に謁見すべく悪戦苦闘するのだが…
彼女はローマの日々の中で、ペテン師のようなロレンツォと知り合って一悶着起こしたり、廃業寸前のドイツ料理店のシェフとなり、料理の腕を揮って店を繁盛させたりして、お婆ちゃんとは思えないバイタリティを発揮して活躍する。
果たして彼女はローマ法王に謁見出来るのか?
終盤近くでマルガレーテのとんでもない罪がカミングアウトされるのだが、その内容は孫娘の恋とオーバーラップしたり、娘のマリーに直結するものであったりする。
ローマに来て人生の輝きを取り戻したマルガレーテの姿を描く本作は、マルガレーテ、マリー、マルティナという女三代に亘る共感や家族の温もりが物語から伝わって来たりして、カトリック信者ではないがバチカンやローマを訪れたくなります。