殺し屋漫画と実録やくざ映画をパロディにしたひたすらアホらしいポルノなのに、ヒットマン映画ならではのポイントを押さえたりバキバキにかっこいい闇の映像など滝田監督の卓越した手腕により今見ても結構面白い作品に仕上がっているのが凄い。そして螢雪次朗演じるゴルゴ17も、千葉真一ほど誇張せず最低限の漫画メイクと表情の変化でそれらしい顔立ちにしてしまうセンスのよさも◎。
敵対するやくざの組同士の決着方法が代表者によるクイズと結構合理的、そしてそんなクイズに外れた場合の罰ゲームが酷すぎて笑ってしまう。あとゴルゴが仲間の女性諜報員と痴漢をとおしてモールス信号を送り連絡を取り合う仕草も爆笑もの、そのときの二人のリアクションがいい。
話の中身も単なるアホ映画ではなく、殺し屋が惚れた若い女性が実はターゲットの娘で、彼女に彼氏がいることを知らないまま溺れてしまう…という中年男の悲哀を組み込んだドラマの構成もなかなか。
それにしてもこの映画でやくざの組長を演じた大杉漣、まさかこの数年後に北野武映画のやくざ役でブレイクするとは思わなかったろうな。