Ryoma

アンビリーバブル・トゥルースのRyomaのレビュー・感想・評価

4.4
世界を呑み込むほどの未曾有の大災害、それに世界を巻き込むほどの凄惨な戦争など、世の中には信じ難く理解しかねる事象が頻発していて…それでも、人の生き方や価値観さえ変えてしまうほどの思いがけない新たな出逢いなど、今を大切に生きたいと心の底から思える人生の醍醐味や素敵な出来事もきっと訪れるんだと信じたくなった。
原題の“The Unbelievable Truth“が妙にしっくりくる。“百聞は一見にしかず“とはよく言うけれど、まさにそうだなと納得。思い込みや勘違いすること、いわゆる“自意識過剰“で特に人間関係面でくよくよ悩んでしまったり落ち込んでしまったりして悪い方向に考えてしまいがちなことは個人的によくあるんだけれど、実際に相手と話して確かめてみると自分が思っているよりそうでないことがよくあって、やはり実際に自分の目で確かめてみることって大事なんだなと。
また、その時、その瞬間に芽生えた気持ちや心情はほんとにその瞬間にしか存在しないものであったり、後になって後悔しても遅いこともあったりするため、もう2度とくることのない今を大切に生きていきたいと感じた。

海に揺蕩う小舟のように、一度風に吹かれると良い方向にも悪い方向にも傾いてしまうような若者の危ゆい心理状態が瑞々しくも痛々しくも描かれていたようで、胸がギュッとなるシーンもあり、一種の青春物語として楽しめた。また、“左翼“や“核反対運動“など日常生活ではあまり聞き馴染みのない政治的用語が飛び交う場面もあるけれども、主役2人をはじめとしたチャーミングなキャラクターらの少しコミカルで可笑しくもある会話劇や彼らの恋愛劇の主軸がしっかりしていることで、より入り込めた気がする。シティーボーイ風なクールなファッションや甘くなりすぎないフェミニン系ファッションも良かったし、80〜90年代のアメリカ🇺🇸らしいポップでロックな音楽や愛しいキャラクター性からハル・ハートリー作品がもっと好きになった。爽やかなラストも好き◎
Ryoma

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