井出

17歳の井出のネタバレレビュー・内容・結末

17歳(2013年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

これは若者の身体に関わる映画。心情は描き過ぎず、世界を作ったあとに、自然な位置にカメラを置いて撮ったかのようなやり方に、リアルさや、社会をそのまま切り取ったような、ドキュメンタリー性を感じる。だから正直、彼女が援交に走っていく理由が分からない。きっとそれがメッセージなのだと思う。
17歳というのは、日本で言うと19歳的なポジション。当然、こっから子供、こっから大人という制度的な分け方はできないわけで、身体も、家族のものか自分のものかの葛藤があるんだね。おそらく親はまだ、自分たちの保護下にあると考えている。子供が援交に走ったら、きっと自分のことのように恥ずかしいし、苦しいし、体の一部が勝手に動いているような感覚を起こすだろう。だからこそ、子供はその態度に拒絶的な反応を起こす。子供は自分が一人前だと思っているし、身体の所有者も自分だと思っている。親がそんな態度をとるから一層自分の体であることを確かめたくて、自分の意思で援交に走る。そして、自分で稼いだお金を見て、満足する。しかし親はそれを叱りつける。自分の体だと言わんばかりに。だから大人を挑発し、弱みを握り、私と何が違うのかとおちょぐってみたりする。
おそらくこの葛藤は、誰もが経験することだろう。自分をつかもうとする時期。アイデンティティの確率とか言ったりもする。それを非常にリアルに描いている。
あとは、17歳のエロさか。艶かしさ。そして徐々に穢れていく様を、見る者は指をくわえて眺めるしかない。嫌悪さえ抱く人もいるだろう。しかし、桜が散っていく様を見ている気もする。刹那的な美。肌で愛を感じるようになる。こうやって自分の体を認知していくのかな。面白かった。
井出

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