『明暗』
やめた。やめた。やめた。
衝動的に口に咥えたタバコを指に挟んで太陽の陽光にかざしてみた。
所詮、俺はわからない。
だって自分の身体の使用法、そのものがわからないんだ。
なんのために生まれてきて、いやもともと俺の意思なんてものはなかった。
勝手に産んだんだ。
俺の思考は残酷だとおもわないか。だって残酷から生まれたんだから。
人間というものは気がついたときには、業というものを背負っていやがる。
幸せなんてものは馬鹿げてる。
ハッピーエンドなんて創作の産物だろう。
これが運命的な出会いだと言えばそうかもしれない。
淡い期待なんて俺はしない。
所詮、業が集まり、卑しい人間どもが他者を小馬鹿にし嘲笑い、いく先も見えない迷路を亡霊のごとく彷徨っているのだろう。
今だけ笑わせておいてやる。
しかし、これは運命なんだよな。たぶん。信じたくないけどな。