強い

裁断分裂キラー スライスの強いのレビュー・感想・評価

裁断分裂キラー スライス(2009年製作の映画)
4.7
((まず始めに、言わせて欲しい。この邦題を考えた奴らをブッ飛ばしたい。多分タイトルつけた奴はこの映画を見ていない。猛省して欲しい。))


赤いスーツケースに性器を切り取られた遺体が入っている、という連続殺人事件が発生。捜査は難航し、警察は元刑事でありながら殺人で服役中のタイを恋人の生活の保証と引き換えに釈放、捜査をさせることに。
事件を追いながらタイはかつての自身の
「親友」が犯人であることに辿り着く。

タイトルのせいで何も期待せずラフに見たのが運のツキ。傑作だった。
ミステリーとしてもゴアスプラッターとしてもなかなかの見応え。サブリミナルのように挟まれる記憶の断片と、徐々にハッキリと浮かび上がる少年期の残酷なまでの青空と草原、懐かしさ、過去の過ち。
少年期の彼らは全く健やかではなかったが、一瞬の煌めきが本当に綺麗。ラストシーンは『怪物』なんかを思い出しました。
ジュブナイル映画としても美しく、ひたすらに凶悪。

映像作品としてもミュージックビデオのようなカッコ良さとアンダーグラウンドな痺れる色彩が堪らなく良い。

2009年の作品だけれど、もしかしたら現代で発表されていたらまた違った評価を得るのではないかと思った。いじめ、ヤングケアラー、虐待児、PTSD、LGBTQの社会問題を扱う重い作品。もっともっと評価されて良いと思う。


今年に入ってからというもの暇さえあればタイのドラマを見漁っていたのだけれど、その中でも群を抜いて面白かった「kinnporsche」のシリーズの監督と「NOT ME」の主演を勤めたガンことアタパンくんの作品だと聞き付け、光の速さでディスカスしたが、マジでタイトル詐欺。C級バカホラーだと思ったじゃん。

14歳のアタパン様が見た~~い、なんて下心炸裂させて見るにはちょっと覚悟が足りなかったおかげで、グサグサ刺さってしまった。アタパンの切迫した芝居は本当に凄まじさすら感じる。


いや本当にタイトルが全部悪い。
だって『裁断分裂キラー スライス』なんて怪人は居らんのですよ。マジでスライスってなんやねん。裁断て。分裂て。裁断分裂キラースライスって、お前……お前………………
あとお前このジャケットとキャッチコピーも…なんやねんお前……これお前……………

きっとこのタイトルじゃあ一生配信にも来ないんだろうな、とメチャクチャ勿体無さと悲しさを感じたのでDVDを買うことにしましたが、フィルマークスのレビュー数に対して中古の値段相場がバカ高いのはきっとガン(アタパン)くん人気の裏付けなんだろうな。分かるけど。
強い

強い