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ターバン魂のBaadのレビュー・感想・評価

ターバン魂(2012年製作の映画)
3.6
2013年度のIFFJ(インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン)で上映されたアクション・コメディー。Eros Nowの英語字幕付き無料配信にて。

去年のディワリ公開のコメディー大作。
なぜかパンジャープ地方の農村での復讐劇ということで、設定にリアリティーがないと思ったら、テルグ語映画のヒット作”Maryada Ramanna" のリメイクだとか。(オリジナル映画の監督は「マッキー」と同じということで、ネットで英語字幕付き無料配信を見ましたが、そちらは地味だけれどきちんとできていて独特なこだわりもちらりとあるいい映画でした。)

導入部のロンドンでのシーンが豪華でした。サルマン・カーンその他3人ぐらいの大スターの共演で、サルマンが「俺はパタンだけど、おまえはサルダール(シク教徒)で云々」とか、民族の伝統を語るシーンがあったりするのですが、復讐の習慣で悪名が高いのはむしろパタンだろ、と思わずツッコミを入れてしまいました。

これ、元ネタありの豪華スター共演顔見せコメディーなので、最初から難しいことは考えず素直に笑っていれば結構楽しめます。

ストーリーはおよそこのようなものです。

復讐を恐れてロンドンに逃げてきた母の死後、そこで一人暮らしをしていたアジャイ演じる若者(若く見えない!)が父の遺産の土地を売りに故郷に帰ったものの、お客として滞在した家は敵の家だった。パンジャーブにありがちなお客を大切にする習慣から、お客として家のなかにいるうちは安全だが、家の敷地から出ると復讐を果たすため殺されてしまう。どうやって敵の一族郎党に見つからずに逃げ出すかというのがポイントで、そのために決死のアクションが繰り広げられる。それにラブストーリーと誤解(いつまでも帰ろうとしないので、その家の主の姪ー実は親同士が殺し合ったーに気があると姪の婚約者が誤解)が絡むと言う話です。それ以外にも賑やかしに特に必然性のない派手で楽しいシーンが沢山。

懐かしのジューヒー・チャウラーさんが出ていいところをきれいにさらって行きますが、彼女、若い頃よりスリムになって相変わらず美人。主演女優のソナクシ・シンハーさんは最近のボリウッド女優にはめずらしくボリュームのある体型ですが、出てくると画面がぱっと明るくなるような華やかさもあり、ダンスシーンも上手です。

個人的には主演のアジャイ・デーヴガンさんが笑って踊りを踊っているというのが一番の驚きでした。脇を固めているのは踊りの上手い人が多かったので、苦手な人のダンスシーンはこうやって撮るんだな、というのがよくわかり面白かった。とにかく複雑なステップの長廻しはだめなので、豪華に演出に凝り、踊れ(ら)ない人の部分は短いカットのポーズをつなげて踊っているように見せるんですね。アジャイさん、筋肉ぴくぴくとにこやかな顔芸でカバーしていましたが、さすが名優、自然に見えます。

とって付けの設定の割には復讐というテーマの扱い方は上手かったと思います。復讐にこだわる根拠は最後まで薄弱な感じがしましたが、それ以外では楽しめるところの多い豪華な作品でした。

(2013/12/25記)
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