やん

Seventh Codeのやんのレビュー・感想・評価

Seventh Code(2013年製作の映画)
3.5
良い意味で雑(ダメという意味ではない。脚本・演出は巧妙に練られてる)な感じは紛れもなく黒沢清の作品。前作「リアル 完全なる首長竜の日」に感じた“黒沢清の作品”としての物足りなさは微塵もない。ただし、良い意味でも悪い意味でもあくまで前田敦子のMV。それ以上でもそれ以下でもない。MVである以上そこは仕方ないのかもしれないが、正直、前田敦子の歌を挿入するタイミング、歌う映像(最悪!)にかなり疑問を覚えた。もう少し別のアプローチ(映像を入れずに歌のみ等)の仕方はなかったのか。あれでは折角作中で重要な意味をもつ与謝野晶子の一節にブレが生じる。そこは心底残念。あと、今作で改めて再確認したのが前田敦子という存在の面白さ。けして美人ではなく華がある訳でもないのに“パンッ”とスクリーンに映ると何故か目を奪われる。惹き付けられる。言うなれば女優力。天賦の才である。正直歌は上手い方ではないのだから、そろそろ前田敦子は女優に専念しても良いんではないか。そう願ってやまない程“女優として”の可能性を「苦役列車」以降彼女は示してきた。ローマ映画祭2冠が後押しすることを切に願う。
やん

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