うえびん

アバウト・タイム 愛おしい時間についてのうえびんのレビュー・感想・評価

3.9
日々是好日

2013年 イギリス作品

“タイムトラベル”という能力を手にした青年・ティムが、時間を何度も遡って、本当の愛や幸せとは何かに気づいていく成長譚。

人生のやり直し。前半のティムのタイムトラベルは、ゲームのリセット機能やPCソフトの元に戻す機能みたいに軽い。時と共に、人生のステージが変ってゆくのと共に、それが重みを増してゆく展開が面白かった。

20代は、人生のイベントのピークだったことがしみじみと思い出される。実家(田舎)を離れ、都会へ出て、就職して、恋をして、結婚して、子が生まれ親になって…。外的には、いろんなことがあって忙しかった。内的にも、成人期の葛藤が絶えず大変だった。だけど、振り返ってみると充実した日々だったなぁ、と。タイムトラベル出来ても戻りたいとは思わないけれど。

「人生は結局同じなんだ。年を取り、同じ話を繰り返す。でも誰かと結婚してほしい。優しい人と」ティムの父の結婚式でのスピーチの言葉が心に沁みる。

僕にも遠くない未来に、父との別れの時が来るだろう。彼から教わった何かを考えつつ、その時がよい時となるように、平凡でも幸せな普通の生活が続くように、一日一日を丁寧に大切に生きよう。そんな活力が湧いてくる作品でした。

終盤の挿入歌『ゴールド・イン・ゼム・ヒルズ』、20代の頃にロン・セクスミスの曲をよく聴いていたのでとても懐かしかった。作中のシーンともよく合っていました。
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