櫻子の勝手にシネマ

アバウト・タイム 愛おしい時間についての櫻子の勝手にシネマのレビュー・感想・評価

4.3
タイムトラベルできる主人公がその能力を使い、恋人や家族との時間を繰り返す中で、何気ない普段の日々が、かげがえのない時間だったと気づく…。
そんな物語となっている。
公開は2013年(イギリス)、リチャード・カーティス監督作品。

ロマンティックなストーリーに花を添えるのが、美しい舞台となるイギリス各地だ。
1つ目は、ティムの家があるコーンウォール地方。
海辺を歩くシーンや家族でランチを楽しむシーンなど、美しい海が印象的な素敵な場所だ。

2つ目はティム(ドーナル・グリーソン)が始めてロンドンに降り立った『パディンドン駅』。
パディンドン駅は多くの人々にとってロンドン生活の出発地点になる場所だ。

余談だが、私は3年ほどロンドンの『グロスターロード駅』から徒歩10分くらいにある場所に住んでいた。
グロスターロード駅からパディンドン駅までのルートは4パターンあり、チューブ(地下鉄)で10分、バス20分、タクシー5〜6分、徒歩でも30分くらいの距離。
パディンドンウォーターサイドやリージェンツ・パーク、ロンドン動物園、ハイドパーク、ケンジントン宮殿、アビーロードなど、観光名所と言われる場所にアクセスしやすいので、滞在中は私も頻繁に利用した。

3つ目は、ハリーの家へと向かう途中にある『アビーロード』。
ビートルズのアルバムジャケット写真で有名な横断歩道だ。
歴史遺産にも指定され、現在でも多くの観光客が訪れる。

4つ目は、ティムとメアリー(レイチェル・マクアダムス)が出会った暗闇レストラン。これは実際にロンドンに存在している『ダン・ル・ノワール』というお店だ。視覚障害のあるウェイターがサービスを提供し、店名の通り暗闇の中で食事をする。

5つ目は、メアリーが住んでいた家の近所にあるポートベロー・マーケット。
リチャード・カーティス監督が脚本を出掛けた映画『ノッティング・ヒルの恋人』の舞台としても有名な場所になっている。

これらの街から人々の生活や文化を想像しながら観賞するのもお勧めだ。

この映画の魅力の一つに音楽の力もある。
ポップな音楽から情緒的な音楽まで、非常にセンスの高いラインナップだ。
ポール・ブキャナンの『Mid Air』、ザ・キュアーの『Friday I'm In Love』、2人の結婚式で流れていたイル・ヴォーロの『Jimmy Fontana』、ティムの父親(ビル・ナイ)の葬式のシーンではニック・ケイブの『Into My Arms』が流れていた。
私は映画を観終わってから、これらの音楽をBGMに映画の余韻に浸り楽しんでいる。

本作は、平凡な日々の生活の中にこそ幸せがあることを、魅力的な音楽と共に教えてくれる映画だ。
恋人や家族と観賞すると毎日の大切さに気付くかもしれない。
勿論1人で観ても楽しめる、前向きになりたい時に観たい映画だ。