せみ多論

アバウト・タイム 愛おしい時間についてのせみ多論のレビュー・感想・評価

3.3
21歳の誕生日に父から告げられる衝撃の事実。うちの家系の男はタイムトラベルできるんよ。

普通のラブストーリーかなと思っていたら、もっと大きな家族の絆であるとか、またあるいは、生きていくこと、過去ではなく今というものの貴重さや、その現実を見据え受け止めていく前向きさを感じる。

SF要素をもちながら、現実離れをしすぎた感じが強すぎない不思議な感覚がある。

物語終盤に次第にタイムトラベルをすることもなくなったというのが印象に残った、個人的な解釈では、過去に拘るよりも、今ある時間、毎日というものを大切に思う、そういうテーマを感じた。

しかしながら

そうやって充実した日々や満足のいく人生を手に入れたのは、タイムトラベルの力があったからなのでは。
そうして満足のいく状況を得た後で、過去じゃない、今を生きるんだ、タイムトラベルはいらない、みたいなことを言われてもなんとも共感しかねる。

誰でも後悔ややり直していきたいことはある、多かれ少なかれ人それぞれではあるだろうが。
それを修正してきた人間が、いや今や未来が大切なんよ、タイムトラベルせんでもええんよ、と言ったところでどう共感できるのだ。
もしそういうならばタイムトラベルする以前まで戻って、そういったタイムトラベルによって変えてきたものも戻して、やり直さない人生をやり直すんだ、そしてエンドロールくらいのほうが納得できた気がする。

と辛口叩いてみたものの、ビルナイの演技は素敵だし、全体に流れる優しい空気はとても気持ちの良いものだと思います。

やっぱり期待してみた分ちょっと批判的なってしまった…
この映画が大好きな方お気を悪くされたら申し訳ありません。
せみ多論

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