本当に、愛おしい時間についての話だった。
タイムトラベル能力を持って生まれた主人公。
若き日はカジュアルに、後悔を塗り替えるように使う。そんな能力があればそう使うよねっていうわかりやすいパターン。それはそれで楽しく鑑賞できたが、やり直せてしまう簡単な毎日にも能力の制限が訪れる。(ここが肝だが、SF的分析をはじめると野暮な話になってしまいそうなのでこの映画に限っては深く考えないのが吉。)
死と生が大きく絡んでくる人生のステージになるにつれて、今日という日はかけがえのない偶然の連続だと強く知る。
父親とのシーンが心に残る。誰しにもあるはずのなんでもないやりとりさえ特別な意味を持つ。これはタイムトラベル関係なくそうなのだけど、タイムトラベルができるからこそ不思議と浮かび上がる作りだった。
思い出の扉は大事にしまっておこう。それが自分の人生である限り、失われない。
やり直せないからと焦って生き急ぐのではなく、やり直せないからこそ余裕をもつこと。小さな行動の選択さえ後悔のない意思決定をすること。最後の秘訣で最高の毎日を手に入れた彼に、祝福を。