小林モンジャ

ヤング・ヤクザの小林モンジャのレビュー・感想・評価

ヤング・ヤクザ(2008年製作の映画)
3.9
フランスの映画監督がバリバリのヤクザ事務所の内部を映したドキュメンタリー。

組との事前に「シノギ(稼ぎ)に関しては見せない」という取り決めをしている為、ヤクザ本来の汚い部分は見えないようになっているので、この映画を見て純粋に「ヤクザってカッコいいじゃん!」という感想を持つのは危険だと言うことをお伝えしておく。

物語は水商売風の女性がヤクザに不良息子を預けるシーンからスタート。
預けられたのがナオキという若者で、彼が入ったのが品川に拠点を置く熊谷組という事務所。

そこから彼と組員、そしてなにより熊谷という組長にフォーカスしていくのだが、この熊谷という組長のキャラが余りにも濃くて面白い。

ヤクザなのにインテリ(これは意外でもないけど)、そしてクリスチャン、そして逃げ出す組員も今後組の名前を出して人を脅したりしなければ許す、と従来のイメージとはかけ離れた組長の姿が面白い。

組員がつまらない事で捕まると、そのしわ寄せとして他の組員がその空いた穴を埋めることとなり負担が増える話なんかはある意味経営者だったり中間管理職の姿と重なる部分もあったりする。

改めて言うがやっぱりヤクザなので、薬やら賭博やらオレオレ詐欺やらで生計を立てている集団なので憧れてはならないものの、非日常の中の日常は我々の日常と似ている部分もあるのだという事が分かって面白い。

ちなみにこの映画で熊谷組長は初めてカンヌ国際映画祭のレッドカーペットを踏んだヤクザとなったことでも有名。