山岡

東京の恋人の山岡のレビュー・感想・評価

東京の恋人(1952年製作の映画)
4.2
傑作。

ロケ撮影が多く、タイトルのとおり戦後の東京の景色を見事にパッケージングしている。賑やかな銀座の街並みやその脇に残る瓦礫やゴミの山、開閉する勝鬨橋…開閉する勝鬨橋の映像を見られるだけでもう最高なのだが、それにも増して使い方が素晴らしい。まず、冒頭で描かれる2人の出会いの場所であり、高級指輪が隅田川に落ちてしまうコメディ的なクライマックスの舞台装置としても重要な役割を果たす。さらに、中盤に勃発する三船と原節子のケンカシーンでは、その最中に勝鬨橋が開くことで図らずも離れ離れになってしまいロマンティックな要素をブーストさせる装置にもなっている。

また、指輪を巡るゴタゴタを通じて登場人物をうまく数珠つなぎにして、ドラマを展開させる脚本も見事である。

もちろん、役者陣の演技、キャラクターも最高。
原節子演じる主人公は、現代の視点でも通用する自立した女性像をナチュラルに醸し出しており、好感が持てる(三船との恋が深まる前で終わっているところもなかなか良い)。
宝石屋の夫婦や社長夫婦も可愛く笑える演技の連発。
そして何より三船敏郎である。まず、若き日の三船のルックスがべらぼうにハンサム!!バシッとスーツで決めた姿も、ランニングシャツのラフな姿もとにかくキマってる…その彼がコメディ演技を炸裂させ、ノリツッコミまでやっちゃうんだからたまらない。更に、やたらキレのあるアクションも味わえる喧嘩シーンも見応えあり。とにかく、喋り方から佇まいまで、何から何まで現代的なカッコよさで別次元。

あと音楽がオシャレだったら最高だったんだけどなあ〜。
山岡

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