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ジョバンニの島のqpのレビュー・感想・評価

ジョバンニの島(2014年製作の映画)
4.5
 ジョバンニこと純平とカンパネラことカンペイの兄弟は平和に暮らしていました。終戦後、ソ連が色丹島を侵略して占領し、教室や家も移動させ、という話です。

 子供たちが自然の中で遊べる平和があると思ったが、すぐに軍隊が小学校に入ってくるまでの悲惨な状況になります。そういえばあまり色丹島など北方領土のことは知らないことに気づきます。
 
 純平とカンペイが家に入れなくなってどうなるのだろうと思っていましたが、今の部屋になった納屋と今はロシア人が住んでいるかつての自分の部屋とを汽車が動きます。子供同士は国籍や戦争は関係ないです。いいシーンですね。

 その後、ターニャなどロシア人と仲良くなります。本当は子供をはじめとした現場の人は仲良くなれるのだろうと感じました。大人たちは制限されることで苦労しているが、色々抜け道があるので悲惨さは少ないです。

 ただ、日本人側で何かあるとロシア人を疑わざるを得ないのが残念です。島の話かと思っていたが、島を離れるのが意外と早かったです。その後は親に会いたいという気持ちが裏目に出るだけで、思ったほど劣悪な環境とは感じませんでした。

 言葉が色々通じないはずなのに、ジョバンニたちがうまくやっていたのが不思議です。あと、ロシアの冬で子供たちだけで外出できたのも状況が呑み込めません。ここが非現実的だったので、実際がどうだったのか気になりました。

 戦争は勝てば官軍で占領された地域にとっては理不尽であり、戦争に負けた国の地域の人であれば、当たり前のことでしょう。本土は戦後から社会が安定しますが、北方領土は戦後から苦難が始まったということ、ロシア人とのポジティブな関係があったことなどが感じられてよかったです。
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