エイプリル

ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅のエイプリルのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

主人公のウディが当たってもいない宝くじの賞金を受け取りにリンカーンまで行く話で、この設定だけ聞くとどう考えても悲しい結末が待っているだけなのですが、非常に綺麗にエンドまで向かっていく話でした。
この映画、終始賞金に群がる人々の小狡い悪意がたくさん出てくるのですが、物語全体が何だかカラッとしているのでそれほど試聴体験はきついものではありませんでした。ウディの息子のデヴィッドと妻のケイトの気がめちゃくちゃ強いので、金の亡者にやり返すシーンも多かったことも良かったです。
結局最後は賞金が当選していないことをウディも知ってしまうのですが、ここで気の毒に思った担当者がくれた帽子と息子に買ってもらったトラックのおかげで、賞金が当選してもいないのに信じ込んでいるウディを馬鹿にしていた連中にも「もしかして本当に当選してたの?」と思わせるようなラストシーンは、「実は本当に当選してました」みたいなご都合主義のオチを回避しつつも、ウディの中に誇りが残る非常に上手い落とし所だと思いました。帽子に「賞金当選者」と書いているのが本当に絶妙なギミックですよね。
コンプレッサーをエドの家から盗み出そうとデヴィッドとロスが発案するところは、こいつらまともそうな顔してるけどやっぱりウディとケイトの子どもだなってことが確信できてめちゃくちゃ面白かったです。
細かいところが結構良くて、主人公にスペック的に負けていることを思い知るたびに従兄弟が「俺はもっと速く自動車飛ばせるぜ!」とマウントしてくるところはこういう哀れなやつ確かにいるな…感が出てて良かったですし、ラストの自動車運転シーンで過去の恋人が優しくウディに視線を向けるところはなんとも言えない感動がありました。
映像はずっとモノクロ調で、ラストにカラーになってエンドかな?と思わせつつ、本当に最後までモノクロなのも逆に良かったです。音楽も非常に良いですし、嫌な人物もまあまあ出てくる割に、見ているだけでも何だか不思議に落ち着く映画でした。
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