Yoshmon

ローン・サバイバーのYoshmonのレビュー・感想・評価

ローン・サバイバー(2013年製作の映画)
3.8
この話を最初に知ることになったきっかけは、ハーバード大学のマイケル・サンデル教授著"これからの「正義」の話をしよう - いまを生き延びるための哲学"(原題: Justice - What's the Right Thing to Do)を読んだことから。

何年も前に読んだ本で、全て読了したかも記憶が怪しい本ですが内容は「正義」について。
「正解」のない問いに対してハーバード大の教授が切り込んでいる著作。

作品の冒頭にもあるように、タリバンの要人アフマド・シャー殺害のための軍事作戦としてアフガニスタンの山岳地帯へ潜入する4名のネイビーSEALs。
ところが山中に潜伏していた時に、不意に子どもも含めた山羊飼いに遭遇。

山羊飼いを開放すれば、自分たちの存在がタリバンへ伝わりアフマド・シャー率いる150人の武装集団に命を狙われるリスクが生じる。

かと言って口封じのためとは言え非戦闘員である現地住民を殺害することは国際法の交戦法規に抵触するし、何より罪のない(と思われる)山羊飼い親子を殺害することは倫理に反する。

⚫︎Option1:
自分たちの身の安全、軍事作戦遂行のために山羊飼いを殺害する。

⚫︎Option2:
国際法に則り、リスクを承知で山羊飼い親子を開放する。

どちらを取っても自身の運命を左右する選択を迫られる、この状況。

僕にとっての「正義」はどちらだろう。
あなたにとっての「正義」はどちらでしょう?

結果、現場にいた彼らの選択により、彼らはタリバンに命を狙われることとなる。

ネイビーSEALs3名、ならびに援護に向かったがタリバンに撃墜されたQRF(即応部隊)のヘリに搭乗していた16名の計19名が戦死するというネイビーSEALs創設以来、最悪のケースとなる。

作中では追うタリバン兵と追われるネイビーSEALS4名の銃撃戦がしんどく感じるほど長く、そして生々しく描かれている。
そのしんどさから如何にネイビーSEALS4名がタリバン兵たちにより徹底的に、そして容赦無く追い込まれたかが伝わってくる。

この世界の全ての事象を単純に「正義」と「悪」の2つに分けられたらどれだけ楽だろうか。

「正解」が無いからこそ、素晴らしくも無慈悲なこの世界。

たった1人の生き残り(lone survivor) を救った現地のパシュトゥン人が見せてくれた勇気ある「正義」に救われる。
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