井出

オール・イズ・ロスト 最後の手紙の井出のネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

つぎつぎ襲いかかる試練。淡々と乗り越えていく、それがかなりリアル。ゼログラビティより、パイより、リアル。
それはBGMほぼなし(若干中途半端に流れる)で、ただただロバートレッドフォードを撮る。船にアニミズムとか、海はやっぱいいな〜とかもなく。かなり素朴。エンドロールにour manって紹介される通り、観客にとって、彼が全てである。だからか、ずっと見ていられる。
死が付きまとうからこそ、生が炙り出される。これももはや王道。シンプルなテーマ。
裏に何かテーマがあるかなーと思いきやなさそう。中国のコンテナに突っ込まれて、平和がぶち壊され、ヨーロッパ(デンマーク?)に無視され、インドの海上警察かなんかにも無視されるのは、アメリカの国際的な孤立を暗示しているのかなとかも思うが、実際分からない。しかしそんなとき、周りにありがたみを感じ、謝罪したくなるんだろう。これもシンプルなメッセージだよな。
唯一すげえと思ったのは、海水を蒸発させて、結露させ、コップに落ちるようにするやつ。めっちゃ感心した。
そしてどんなときでも、海は美しい。最後の月と火の輪はものすごく美しかった。むじょうの美というべきか。
最後はオールイズロスト、その言葉がまだ現在形であることに救いがあることを知った。
井出

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