オレンジマン

寄生獣 完結編のオレンジマンのレビュー・感想・評価

寄生獣 完結編(2015年製作の映画)
3.1

うーん、これはちょっとどうなんだろう.....
前編に比べて物語性は薄くなり、断片的なシーケンスの連続と、
そこに付されるあまりに強い(前面的すぎる)主張の数々に閉口せざるを得ない。

会議場の北村一輝にせよ、公園の大森南朋にせよ深津絵里にせよ、ゴミ収集場の浅野忠信にせよ、皆喋りすぎている。これはディベート大会じゃないんだからもう少し工夫してほしい気がする。撮影場所に関してもそうで、こんなに長い映画なのに、飽きるほど公園や市役所地下などの映像を見せられて、「撮影自体は楽そうだな」という印象さえ受ける。

最後の方は、一つ一つ状態や主張をクリアしていく単純作業にみえてしまいそれを強調するような暗転の多用も目についてしまった。最後のプロットとかはいるのだろうか....もちろん言いたいことはわかるけど、あまりにとってつけた感が凄いし、何より弱すぎるwwいや、全然バケモノじゃないでしょその弱さ笑

前編や原作に比べて恋愛色が強くなっているという感想を散見するが、実感的な恋愛色は前編の方が多いと思う。完結編は「これが恋愛的な状態、行為でしょ」的な描写が並べられているだけで、2人の間に愛を感じるでもなく、最早橋本愛にドキドキもしない。
問題のラブシーンだが、もちろんこれを入れたい意味はわかる。この物語が"人間の生命"を一つの主題にしている以上避けては通れないと思うが、あまりに雑である。雨の中染谷に呼び出された橋本愛は従順な彼女となって馳せ参じる。そしてある種の悲しみとある種の緊張感の中にあるはずなのに、ただ優しく抱きしめられただけでキスという行為をする。行為が行為を生むような連鎖的な流れの中で(雰囲気や感情の介在と高まりは感じられない)、2人は脱衣し、橋本愛は処女を喪失する......これって、前後の文脈を無視して挿入された性行為というだけの意味しか読み取れなかった。しかも脱衣のシーンで使われるジャンプカット。そんな段階説明的な描写いらないでしょ....

この映画のハイライトはエンドロールではないだろうか。背景に映し出される様々な動きと、普段とは逆に流れるスタッフロールが、なぜか知らないが観客に浮遊感と非方向的な空間\動線を感じさせるのでとても良い。このエンドロールにはわりと度肝を抜かれた気がする。
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