よーだ育休準備中

シンデレラのよーだ育休準備中のレビュー・感想・評価

シンデレラ(2015年製作の映画)
5.0
"have courage and be kind"
プリンセスの代名詞であり、誰もが(名前くらいは)知っている御伽噺、"シンデレラ"をディズニーが実写化。

両親を亡くし、継母(Cate Blanchett)と義姉達から虐められていたElla(Lily James)。召使のような扱いを受け、友達はネズミだけ。そんな中でも心の美しさを失わず、王子様(Richard Madden)に見初められる"シンデレラストーリー"。


南瓜の馬車、舞踏会、ブルーのドレス、硝子の靴、秘密の花園…。
アニメ版は未鑑賞なので今作との差異はよくわからないけれど、作品を象徴する要素のひとつひとつが美しく映像化されている印象を持った。Lily Jamesの歌う"Lavender's Blue"も癒されるような素敵な曲。


Cinderella同様、今作に欠かせないキャラクターがFairy Godmother(Helena Bonham Carter)と意地悪な継母(Cate Blanchett)。
どちらも配役が豪華で、見事にハマっていた!(逆キャスティングverも違った味が出て面白そうだなぁなんて思ったり、、)

Helenaのせわしない表情筋と緩急のついた演技は、少ない登場シーンながらもインパクト十分。一見すると適当で軽そうな雰囲気も場面にマッチしていて良かった!

Cateも継母のドロっとした雰囲気を上手く纏っていて、あの品のない笑い方が良い意味で耳に残る。美貌は隠しきれないが、こんな役柄もサラッと演じてしまうのは流石。


今作のヴィランは他の作品と比べてだいぶマイルドな仕上がり。あまり憎めないし、同情してしまう節がちらほら。

Lady Tremaine(継母)は確かに意地悪なんだけど、その背景が語られていて不憫になる。
夫に先立たれ、阿呆だけれども大事な娘達と生きていくために嫁いだ異国の地でも未亡人に。遺された義娘と自分の娘達との間には圧倒的な"格"の差が。(ラストシーンで言及があるように、自分自身とEllaとの格の差も認めている。)Cate Blanchettが演じていることを差し引いても情状酌量の余地があるように見えてしまう。

Drisella、Anastasia姉妹は前述の通りただのあほちん。ママに乗っかって思考停止Ellaいじめをしてるだけ。
てっぺん越えて舞踏会から帰宅するなり「紅茶!」って、飲み会帰りのオヤジか!笑

王子の政略結婚を強引に推し進めるGrand Duke(Stellan Skarsgard)。ヴィランの立ち位置ではあるが、あくまで外交・国益を考えての事。政治家として信念と責任感が強いだけではないかと思ってしまった。


なんとなく、というか、かなり宗教色が強い作品だと感じた。
まるでカトリックのプロパガンダのような、アニメ版もそうだったのかな?

献身、清貧、純潔、質素、隣人愛…

母の形見のピンク(聖職者の祭服)のドレスからブルー(聖母マリアの色)のドレスに変身したり。

Ellaが"oh my goodness"と発言したのは"上品だから"という理由だけではない気がしたり。(みだりにその名を唱えてはならない)

気になって調べてみたら"Godmother"はキリスト教の言葉で"洗礼の立会人・証人"の事を指すのだとか。ビビディ・バビディ・ブーのシーンは洗礼的な意味合いもあったのかな?と感じられたり。

馬車も御者も従者も12時には魔法が解けてしまったのに、最重要キーアイテム、"ガラスの靴"だけは残ったままだった。
この件について、【ドレスや馬車は、元々あったドレスや南瓜、小動物を《変身》させたものであるのに対し、"ガラスの靴"は《与えられた》ものだから残った】という説があるようだが、この辺りもクリスチャンの雰囲気を感じる。

今まで汚れた道を歩いてきたその靴を脱いで新しい靴を与えられている(片方は後に継母に叩き割られてしまうが、、)演出は、モーセやヨシュアが神の御前で履物を脱ぐシーンを彷彿とさせる。


元々グリム童話で割とエグい話が源流だと思っていたのだが、どこでここまでカトリック色が濃くなったのか大変気になった。