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シンデレラのkomoのレビュー・感想・評価

シンデレラ(2015年製作の映画)
4.4
【魔法は”ただの”隠し味】

7月上旬にリバイバル上映にて。
リリー・ジェームズさんが大好きなのでDVDでは何度も観ましたが、スクリーンで観られるというミラクルが起こって本当に嬉しい💕
ちなみにこの前の週には、『ベイビー・ドライバー』をドルビーシネマで鑑賞しました。2週連続でリリーさんを大画面で観られ、その歌声を聴けるとは感激です☺️

本作でリリーは当初、意地悪な義姉役でオーディションを受けたそう。そこから主役に抜擢されるとは、製作の裏側にも素晴らしいシンデレラストーリーがありました♪

亡き両親への誓いの元、どれほど虐げられても勇気と優しさを捨てないシンデレラ。
屋根裏に追いやられても、希望を忘れず歌を口ずさみ続けます。ネズミたちにテーブルを用意してあげるシーンか天使すぎて私はネズミになりたい…。
ハッピーエンドだと分かっているからこそ安心して観られますが、虐げられるリリーの演技は真に迫っていて苦しかったです。
継母たちと同じテーブルで食事を摂ることを許されず、悲しみに打ちひしがれて倒れ伏すシーンが一番グサリと来ました。

しかし、ヒールである継母役のケイト・ブランシェット様の麗しさよ……。
初登場シーンのカメラワークは何度見ても痺れます。そのほかにも思案に耽る彼女を長尺で映すシーンや、彼女の瞳に輝く花火の描写など、ケイト・ブランシェットの箔を際立てる演出が盛り沢山!
継母は憎き悪役ですが…やはりこの美しさには見惚れてしまいます。

更にフェアリー・ゴッドマザーがヘレナ・ボナム=カーター様だなんて、満点すぎるキャスティング!!!
トリッキーな表情のひとつひとつに釘付けです。そして衣装がべらぼうに可愛い💕💕
出番は少ないですが、そのあいだ興奮フルフロットルでした♪
シンデレラを魔法でドレスアップするシーンも、リリーファンとしてもう嬉しくて嬉しくて…!
人間の御者の姿に扮した動物たちのビジュアルもかなり好きです。人間になったばかりの辿々しい足取りで、時間がないぞ急げ急げ〜!とヨタヨタ走るところが本当に愛おしいです。

誰もが知る物語をここまで面白く魅せてくれるディズニーの演出力に驚かされますが、本作の肝はなんといっても主人公の心の強さと行動力にあります。
ラストを締めるフェアリー・ゴッドマザーの言葉通り、”魔法”の存在はシンデレラに対するほんの一助であり、そこへとたどり着くまでの道はシンデレラ自身の意志の強さが作ってくれたのだと思います。
お城へと向かう馬車に揺られている時の、シンデレラの不安げな表情。
それは未知の魔法に出会ったことや、王子と再会できるかなどの不安要素も影響していると思うのですが、それ以上に”私が選んだ道だから”こそのドキドキです。シンデレラを運んでいるかぼちゃの馬車は、シンデレラ自身であるとさえ思います。

『私が舞踏会に行ってもいいの?』と不安に揺れるシンデレラの横顔に、この映画を観ている人々が『あなたは絶対に幸せになれるから大丈夫だよ。行っておいで!』と心の中で後押しする。
それもまた、隠された魔法のようです。
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